税務調査で重要な「棚卸資産の評価」

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


今回は、税務調査の対象となる可能性が高い棚卸資産の評価についてお知らせします。

棚卸資産は利益に影響

売上高に対応する売上原価は「期首商品棚卸高+当期商品仕入高ー期末商品棚卸高」により算出します。

ここで、期末の在庫高を不正に多く計上したとします。
すると、在庫は売れるまで資産として寝ているだけでですから当然売上原価を構成することはなく、結果売上原価が減少し、利益が過大に計上されます。

つまり、在庫と利益は表裏一体の関係であり、決算期末における在庫の評価方法については、税法上規定されています。

棚卸資産の取得価額

(1)購入した棚卸資産
⇒資産の購入代価+購入のために要した費用(引取運賃・荷役費・運送保険料・購入手数料・関税など)+付随費用

付随費用とは、買入事務・検収・整理・選別・手入れ等に要した費用、販売所から他の販売所などに移管するための運賃等があります。
この付随費用については、資産の購入代価のおおむね3%以内の少額である場合には、取得原価に算入せず、支出した事業年度の費用とすることができます。

なお付随費用が少額であるかどうかの判定は、事業年度ごとに、かつ、種類等を同じくする棚卸資産ごとに判定することができます。

(2)自己製造等
⇒製造原価+付随費用
購入の場合と同様、少額な付随費用は取得価額に含めないことができます。

棚卸資産の評価方法

棚卸資産は、原価法又は低価法により評価しますが、原則として毎期継続して同じ評価方法によることとします。また、評価方法は通常は法人設立の届出等と一緒に税務署に提出していますが、法定評価方法は原価法となっています。

原価法とは、棚卸資産の取得価額をもってその評価額とする方法であり、低価法とは棚卸資産の原価と時価のいずれか低い方の価額をその評価額とする方法です。

節税を考えるのであれば、低価法を選択し、期末在庫評価を下げ、売上原価をアップし利益を圧縮する方法もあります。この場合は、変更しようとする事業年度開始の日の前日までに税務署に変更の承認申請書を提出する必要があります。

期末在庫処分で節税

期末在庫が翌期に完売する業種は限られており、いくらかはまた在庫として残り塵も積もれば山となります。業績の長い会社であれば、売れる見込みの少ない在庫を原価のまま抱えている会社も多いことでしょう。

税法上、在庫の評価損が認められるケースは限定されています。

(1)災害による著しい損傷があった場合
(2)著しい陳腐化があった場合
(3)破損、型くずれ、棚さらし、品質変化などより通常の方法では販売できなくなった場合(単なる流行遅れはダメ)
(4)会社更生法等による評価換えがあった場合

評価損を計上する場合には、その金額に正当性や根拠(証拠)を説明できる書類を残すべきです。それは、現金の支出を伴わない費用ですので、経営者の恣意性が介入してしまう可能性があるからです。
税務調査で余計な冷や汗をかかなくて済むようにしたいものです。

その点、決算末までに在庫処分セールをして販売してしまうというのは、節税の観点からも有効です。

今日の話が少しでも経営者の皆様のお役に立てれば幸いです。

メール通信№74


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