税務調査はコレで乗り切る

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


税務調査の心得3ケ条

税務調査があるというと、悪いことはしていなくとも何となく落ち着かなくなるものです。
税務調査において適度な緊張感は必要ですが、あまり神経質になる必要はありません。

そこで、以下のように「税務調査の心得3ケ条」をまとめてみました。

第1条 普段通りで
・税務調査官は敵ではない(と思って)ので、他の業者さんなどと同様に通常の礼儀は尽くす
・過度にこびる必要はない
・税務調査とはいえ、最終的には人対人という交渉事でもあるので心象も大事にする


第2条 聞かれたことのみ答える
・税務調査官は最初の会話などで何か指摘事項の糸口がないかと考えている
・過去のことなどは聞かれたことだけ答えればいい
・税務調査官は税務的な見地(費用ではなく資産計上ではないか等)で見ているため、皆さんと視点が違うということを知っておく


第3条 わからないことはわからないと言う
・不明点や曖昧な点をいい加減に答えるのは後でもめるので、そのようなときはわかりませんと素直に答える
・時間をかけてわかる場合は、後から調べて答える
⇒わからないこと・不明点は税理士に相談する!

第1条「普段通りで」

まずは、「普段通り」の対応を心掛けるようにしてください。
税務調査というのは、どうしても少し興奮気味になることがあります。
これは社長だけではなく経理担当者等もそうです。

通常の仕事と同様、冷静さを失ってうまくいくことは少ないでしょう。

また、税務調査で赤ら顔になる方もおられますが、税務調査官は会社や経営者にとって敵ではありません(又はそのように考えてください)ので、他の出入り業者さんなどと同様に通常の礼儀を当たり前に尽くすようにしてください。

かといって、過度にこびる必要はありませんが。

そして、税務調査というのは、最終的には人対人の交渉事という側面がありますから、調査官に良い心象をもってもらうことは大事です。

第2条「聞かれたことのみ答える」

税務調査の心得として次に大事なのが、「聞かれたことのみ答える」です。
どうしても少し興奮気味の調査では、いつもより言葉数が多く早口になりがちです。
これは多くの方で如実にあらわれます。

すると、聞かれていないことまで延々と話してしまい、調査の糸口を調査官に与えてしまうことがあります。

特に、調査初日の午前中に会社概要などを聞かれますが、このとき調査官は調査の突破口を探していますのでご注意下さい。

また、調査官というのは、これは費用ではなく資産ではないかなど「税務的な見地」で質問をしてくるため、経営者の皆さんと視点が違うということも知っておいてください。

第3条「わからないことはわからないと言う」

そして最後の心得は、「わからないことはわからないと言う」です。

調査官から質問されると、経理担当者など親切な人ほど無理に答えようとして調査が混乱し長引くことがあります。
不明な点や曖昧な点は、いい加減に答えると後でもめますので、そういったときは素直に「わかりません」と答えて下さい。

また、よくあるのが時間をかければわかるようなときですが、そのような場合は「後で調べて答えます」と言いましょう。

税務的な見地から調査官がみていますので、間違いや誤解がないようなるべく顧問税理士と相談してから答えるのがいいでしょう。

お昼は出すべきか?

税務調査時に、意外と気になることは、お茶やコーヒー、お昼の食事などはどうするのかということです。

結論は、「午前と午後の調査開始時に、お茶やコーヒーなどは出したほうがいい」、「お昼は出さなくていい」です。
茶菓子というのは、会話を円滑にする部分もありますので出したほうがいいでしょう。

また、公務員倫理法の影響でお昼は出しても断られることがほとんどです。
ただし周囲に食事をするところがないときなどは出したほうがいいでしょうが、その場合でもお昼代はおいていかれます。

お土産は必要か?

またよくある勘違いは、「税務署にはお土産が必要?」です。
つまり、きちんと帳簿付けをしていても、多少は税金を追加で払ってあげないと調査官は帰ってくれないのではないかということです。

これに対しては、全くそんなことはない…とは言い切れませんが、現在の税務調査ではほとんどありません。
どうしても税務調査の性格上、グレーゾーンといわれる交渉事の部分もありますので、結果的にそうなることはあります。

実際、東京税理士会の平成18年度アンケートによると、「申告是認が24.3%」となっていますから、何も税金を払わなくて良かったケースが約4件に1件あったということです。

私たちの税務調査においても、指摘事項0というのはよくあります。

税務調査における2大目標

何かやるときには事前にその目標を設定することが大切です。
これは税務調査においても同様で、次の2大目標が重要です。

1.限りなく追加税額を減らす
2.税務調査官に真面目な納税者であるという印象をもってもらう

最初の「限りなく追加税額を減らす」というのは、当然のことではあるのですが、よくある税務調査では詰めが甘いと思います。

「追加税額」というのは、税務調査において会社が支払うべき税額すべてを指します。

税務署側ではよく法人税(本税)だけで話をされることがありますが、納税者側では、「法人住民税や事業税」、更には「延滞税や加算税など付帯税」も含めて一体いくら追加税額が発生するのかを把握しておかないといけません。

また、「追加税額を減らす」という意味では、最後の最後まで粘ることが重要です。

そのときの交渉テクニックとしては、「指摘事項が全部出揃ってから交渉する」や、「今後の是正で許してもらう」、「修正年度を絞る(直前期のみなど)」、「項目を絞る(グレーゾーンの場合、1個認めたら1個許してもらうなど)」等があります。

真面目な納税者という印象

2番目の目標は、「税務調査官に真面目な納税者であるという印象をもってもらう」です。
これは、多くの納税者が忘れがちです。

税務調査は緊張するかと思いますが、実は調査官も緊張していることがあります。
というのは、調査官にとっても、その会社を訪問するのは初めてのはずで、最初は悪質な脱税会社かもしれないという疑いを少なからずもっているからです。

また、調査官は約3年で転勤があり、同じ会社を2度調査することは通常ありません。
ということは、次の調査では必ず別の調査官が来るということです。

そこで、税務署内では「申し送り書」が存在しているようです。
ここに、「脱税志向あり」などと書かれると、次回の調査がやっかいなことになります。

また、そもそも次回の調査が早期に到来することになるかもしれません。

会社経営を続けていく限り、税務調査とは長いお付合いであると考えて、真面目な納税者だなぁという印象をまず調査官にもってもらい、「今回の調査が不当でない穏便調査」になり、「次回調査がスムーズかつ出来るだけ遅く」なるようにもっていきましょう。

そのためには、税務調査に誠実に協力する姿勢が大切です。

この話が経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№232


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