「脱税は社会公共の敵」平成22年度査察調査の概要

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


査察調査とは

6月16日に国税庁から、平成22年度の査察調査の結果が報告された。

査察調査とは、適正公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的として、一般の税務調査と異なり、特に大口・悪質な脱税をした者に対して、税金を納めるだけではなく、懲役または罰金という刑罰を科すための特別な税務調査である。 この査察調査には、国税庁と国税局に配置されている国税査察官(全国で約1,300名)が当たっている。(パンフレット「国税査察制度のあらまし」平成20年2月より)

査察調査の件数と脱税額

平成22年度に査察に着手した件数は196件あり、平成22年度以前に着手した査察事案について平成22年度中に処理した件数は216件、そのうち検察庁に告発した件数は156件で、告発率は72.2%、およそ4件に3件は告発されたことになる。

また、平成22年度においては、所得税・法人税事案はもとより、相続税・消費税事案についても積極的に取り組みがされ、相続税事案は過去5年間で比較すると最も告発件数が多くなった。

平成22年度に処理した事案に係る脱税額は総額で約248億円、そのうち告発分は約213億円にもなる。告発した事案1件当りの脱税額は、平均で約1億3,700万円と高額である(脱税額には加算税額を含む)。

告発が多かった業種や取引など

平成22年度に告発が多かった業種や取引は、昨年に引き続き、都市部における地価高騰の影響を受けた不動産業のほか、建設業、運送業の告発も多く見受けられた。

平成22年度の特色として、技能習得を目的とした外国人研修生を日本企業へ斡旋する「外国人研修生受入事業」や、テレビコマーシャルでご存知の方も多いであろうが過払金返還請求等の債務整理業務を行う「認定司法書士」の告発があった。

脱税の手段・方法については、不動産業・建設業・運送業ではオーソドックスな架空経費の計上などが多く見受けられた。人材派遣業では消費税の申告において、本来課税仕入に該当しない人件費を課税仕入となる外注費に科目仮装するものがあった。

また、国際取引を利用した事案としては、架空外注費をタックスヘイブンに設立した関係法人に対して計上するとともに、海外に開設したその関係法人名義の預金に送金し留保したものや、海外で受領した仲介手数料収入を申告から除外するとともに、この収入を国内に持ち込むことなく海外で開設した預金で留保していたもの、被相続人が所有していた海外の預金やコンドミニアムを相続税の申告から除外していたものなどがあった。昨今は、海外の課税局との情報交換が進んでいるため、海外の預金なども把握されやすくなっている。

「脱税は社会公共の敵」

これは、先述のパンフレット「国税査察制度のあらまし」の表紙に記載されている文言である。公共サービスは基本税金で賄われていることや、租税公平主義の観点から、歓迎すべきものではないかもしれないが、税務調査はないと困るものである。脱税は社会公共の敵であると考えて、脱税でない節税に力を入れるようにしよう。 

税務ニュース№229


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