脱税に対する罰則が強化

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


納税者の権利と義務

納税者は、法律上の権利を有している。例えば、憲法第84条において「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする」と定められている。平たく申しあげるならば、法律の定めのない税額については、支払を拒否することができるという権利(租税法律主義)のことである。

一方、憲法第30条において国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う」と納税義務が課されている。

つまり、権利の裏返しとして、納税者には適正に税制上の義務を履行することが求められる。義務を適正に履行しない納税者に対しては、厳正かつ的確に対処する必要がある。

そこで、課税の適正化を図り、税制への信頼を確保するために、平成22年税制改正において、他の経済犯とのバランスなどを考えながら、租税に関する罰則規定の見直しが行われた。

租税に関する罰則の見直し

平成22年6月1日以後の違反行為について、次のように強化される。

1.脱税犯(不正手段により税を免れる行為)
【改正前】「5年以下の懲役もしくは500万円以下(情状により脱税額以下)の罰金または併科」(直接税・消費税の場合)等
【改正後】「10年以下の懲役もしくは1,000万円以下(情状により脱税額以下)の罰金または併科」(直接税・消費税の場合)に引き上げる等、法定刑の引き上げ

○消費税等を除く間接税等の罰金刑につては100万円(現行50万円)に、源泉所得税不納付犯の罰金刑については200万円(現行100万円)に引き上げる


2.秩序犯(申告書の不提出、検査忌避等の行為)
【改正前】「1年以下の懲役または20万円以下の罰金」等(直接税・消費税の場合)

○消費税を除く間接税等については、基本的に罰金刑のみ

【改正後】消費税を除く間接税等についても、「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」に揃える等、法定刑の引き上げ


3.税務職員の守秘義務違反の罪
【改正前】「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」(直接税・消費税)
【改正後】「2年以下の懲役または100万円以下の罰金」に罰金刑を引き上げ

○守秘義務違反の統一的規模を国税通則法に設けるとともに、処罰対象範囲を拡大

適正申告が一番の節税

脱税犯というように脱税は犯罪であり、新聞等で報道される可能性も高い。「あの会社、脱税で捕まった・・・」ということになれば、今まで築いてきた社会的信用が崩れてしまうだけでなく、(本税+ペナルティ)を支払うことになり、資金ショートを起してしまうこともありうる。

結果として、適正に申告し納税することが一番の節税といえるかもしれない。

税務ニュース№173


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