ついに改正か?退職金課税が狙われている?!

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


今年も始まった税制改正議論

毎年、12月中旬に発表される来年度の税制改正大綱の発表に向けて、10月末頃から自民党の税制調査会が始まります。

通称「インナー」と呼ばれるこの会合は、基本的に非公開ですが、議論の動向は報道を通じて漏れ伝わってきます。

2020年度税制改正に向けた自民党税制調査会の方針は、過去最高(約463兆円)となった日本の内部留保を企業の成長投資に回すように促進することで、この方針は安倍首相とも共有されています。

この方向性で、現状検討されているのは、
・新規事業へのM&Aを実施した企業への税制優遇
・スタートアップに投資した個人が優遇を受けられる「エンジェル税制」の拡充
(クラウドファンディング対応など)
といった投資系の優遇税制のようです。

退職金課税にいよいよメスが入る?

ただ、上記の成長促進に向けた改正の動きと別に、高齢者に対する課税の公平性が以前から課題となっており、来年度の税制改正に盛り込まれるかもしれません。

それは、退職金課税の見直しです。
もし、実現すれば、中小企業の経営者の皆さんにも大きく影響する可能性があります。

一石三鳥の退職所得

問題になっているのは、退職金のもらい方によって、税金が変わるということです。

退職金を一時金としてもらえば、それは退職所得となります。退職所得は、税制上、トリプル優遇されており、現状、非常に有利な取扱いがされています。

・勤続年数に応じた多額の退職所得控除
・1/2課税(課税対象になるのは、所得の1/2)
・さらに、他の所得と合算されず、低税率で課税される分離課税

一方、退職金を年金としてもらった場合は、雑所得として課税されます。公的年金等控除という控除はありますが、一時金のような優遇措置はありません。(税金ではないですが、社会保険料の対象にもなってきます。)

このように、一時金と年金で課税体系が異なっていることに対する問題意識は以前からあり、税制改正大綱の検討課題の欄にも、毎年のように課題として記載されてきました。

甘利明税制調査会会長への日本経済新聞のインタビュー(10/2)では、以下のように触れられています。

・働き方や勤めた年数で税負担に差が出る所得税の仕組みを改める
・勤めた期間が20年を超えると控除額が大きくなる退職金課税の見直しが検討課題

交際費課税も改正?

また、いくら内部留保を成長投資に向けるための税制優遇といっても、厳しい日本の財政事情に配慮しないわけにはいかないので、一定の抑制策も議論される見通しです。

その1つとして、交際費の損金算入限度額の見直しが挙がっています。
まだ議論は始まったばかりですので、最終的にどうなるかは全く分かりませんが、しっかりウォッチしておいた方がよさそうです。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№665


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