優良企業は攻め時、超低金利と実質金利

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


1%を切る金利も登場

新聞やニュースを漫然と見ていると、日本は相変わらず不況で中小企業にとっては大変な時代であると感じてしまいます。

これは一面その通りなのですが、例えば、財務体質の良い又は業績が好調ないわゆる優良中小企業であれば、金融機関からの借り入れがプロパーで無担保、信用扱いで1%切りというのも珍しくありません。

これは来年3月に期限切れとなる中小企業金融円滑化法が影響しています。

ずばり金融機関としては正常に貸し出せる先が少ないため、良い会社にはとことん金融ディスカウントをして、極端に低い金利でなるべく多く貸すようになっているのです。

これは、都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合、日本政策金融公庫(中小企業金融公庫)のどれであっても基本的に同じです。

逆にいうと、今、優良中小企業は金融面において最大のチャンスといえます。史上空前の低利率で多額の資金を調達して、本当に必要な設備投資を実行したり、増加運転資金に回して規模の拡大を図ることが可能です。

(金利が低いということは、一般的には今後土地等が上昇しないという表れでもありますから、本業以外への投資のために融資を受けるというのは控えたほうがいいでしょう。また、こういう異常な金融緩和時に過剰な融資を受けてその後倒産した会社はとてもたくさんあります、過去の教訓は忘れずにいましょう。)

メガバンクの方が金利が低い理由

財務体質の良い優良企業でも、あいかわらず地元の銀行とのお付き合いのみというケースは意外に多いです。
ぜひ、優良中小企業はいわゆるメガバンク(三菱UFJ,三井住友、みずほ)と取引してください。

これは単に、地銀では得にくい不動産情報や他社の情報を知れるということだけではありません。
ましてやお付き合いでもなく、一般的に借入金利がメガバンクの方が低い傾向にあるからです。

実際、貸出金利の指標となる短期プライムレートをみると、第二地方銀行より第一地方銀行、第一地方銀行よりメガバンクのほうが低くなっています。
その理由ははっきりしていて、メガバンクの資金調達金利が低いからです。一例をあげると、メガバンクは大手上場企業の当座預金をもっていますが、この預金には金利を支払う必要がありません。

つまり、当座預金は銀行にとって金利0円で調達できる資金となるのです。

地元の銀行だけではなくメガバンクなど他行とも取引(複数行取引)をしておくというのは、会社がまさかの時にも役立つことがありますので、お勧めです。

あなたの会社の本当の金利

〔A銀行〕
普通預金が大体常に1,000万円、定期預金が3,000万円ある(合計4,000万円)

〔B銀行〕
普通預金が大体常に1,000万円ある

この場合に、それぞれから同額の8,000万円のプロパー融資を金利2%で受けたとします(年間支払金利=8,000万円×2%=160万円)。

この場合、表面的な金利は2%で同じですが、実質金利も同じでしょうか。

実質金利=(支払利息-預金利息)÷(借入金-預金)×100%ですので、
A銀行の実質金利=160万円÷(8,000万円-4,000万円)×100%=4%
B銀行の実質金利=160万円÷(8,000万円-1,000万円)×100%≒2.3%
(注)預金金利は0%とする。

つまり、預金残高が多いほど、その銀行からの借入金に対する実質金利は高くなります。
銀行もそれがわかっていますから、売上入金口座を自行にしたがるのです。

であれば、それは、銀行との融資交渉におけるトークに使えるのではないでしょうか。
例えば、「入金口座を貴行にするので実質金利を考えて、もう少し金利を下げてもらえませんか」など。

これは、優良企業が更に金利を下げてもらう時にも使えます。

メインバンクの自行短プラを把握する

一方、財務体質などが優良とはいえない中小企業も含めて全中小企業で有効なのが、「メインバンクの短期プライムレートを把握」しておくことです。
そして、その短プラと自社の借入利率を比較して、どれくらい上乗せされているのかを確認するのです。

これが、銀行から見た御社の信用度バロメーターともいえます。

以下は参考までに都市銀行6行(みずほ、三菱UFJ、三井住友、りそな、みずほコーポレート、埼玉りそな)の短プラの過去の推移(最高、最低等)です。

【日本銀行|長・短期プライムレート(主要行)の推移 2001年以降
http://www.boj.or.jp/statistics/dl/loan/prime/prime.htm/

ちなみに、適用金利は0.125%刻みとなっています。

優良企業は攻め時かも

冒頭にも申し上げましたが、今、融資面において異常な低金利と節操のない金融緩和状態となっています。

これを攻め時と睨んで、あくまで慎重にではありますが、事業を前に進めていくという選択肢はあっていいのだと思います。

ただしその時に、こういった異常な金融緩和時に必要のない借り入れをし、無謀な投資などを実行して、その後倒産の憂き目にあった会社は本当に多いですので、自社内で他の役員と会議を持ったり、顧問税理士に相談したりなど出来るだけ急ぎ過ぎない対応をしてください。

また、毎年のご案内ではありますが、年末に大きな取引をするのは控えておいたほうがいいと思います。
出来れば、熟慮期間をきちんと設けて、年が明けてからご判断されるほうが、一般的には大きなリスク回避になることが多いですのでご伝言申し上げます。

この話が経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№315


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