中小企業の決算対策、3つのポイント

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


決算対策、3つのポイントとは

年度末が近付き、決算対策に頭を悩ます経営者も多い時期だろう。決算対策には3つの要素がある。それは、利益対策、資金繰り(キャッシュフロー)対策、税金対策である。今回は、この3つを簡単にご紹介する。

利益対策の選択肢

中小企業においては、この3月決算も赤字というところが相当数あるものと思われる。何とか黒字化を図れないかというのは、経営者が誰しも思うことだろう。その場合、当期の利益対策としては、2つの考え方がある。

1つは、何とか当期の黒字化を図る(もしくは赤字幅を減らす)という考え方、もう1つは、来期の黒字化に向けて今期にマイナス要素を全て計上してしまうという考え方である。もちろん、当期を黒字にできればそれに越したことはないが、それが困難な場合、長期的な視点で考えると、融資への影響も考えて2期連続の赤字というのは避けたいところだ。その場合、あえて今期を“戦略的に”赤字にし、来期の“V字回復”に備えるという選択肢もある。

また視点を変えると、決算対策には「P/L対策」と「B/S対策」の2つがある。一般的に決算対策というと、前者の「P/L対策」を指す。「B/S対策」というのは、自己資本を確保すること、債務超過を解消することで、結果的には「P/L対策」とつながっているのだが、DES(デット・エクイティ・スワップ)などを活用することで、直接「B/S対策」を行うこともできる。利益対策は、「当期」と「来期」、「B/S」と「P/L」をバランスよく考えて行う必要がある。

資金繰り対策には緊急保証制度が有効

2つ目は、資金繰り対策である。利益対策よりこちらの方が切実な問題、という場合もあるだろう。現在は、緊急保証制度やセーフティネット貸付などの支援策があり、昨年12月には中小企業金融円滑化法も施行された。中小企業は、これらを利用した改善策を考えたい。

緊急保証制度については、従来の制度がこの3月末で期限切れとなるのに合わせて衣替えがなされ、前倒しで2月15日から景気対応緊急保証制度として開始されている。

改善された点は大きく2つある。1つは対象業種である。これまでの793業種から1118業種に対象業種が大幅拡大された。農林水産業、金融・保険業、学校法人、宗教法人などを除いた原則全業種とされている。2つ目は、要件の緩和である。これまでは前期比で売上3%以上減少などの要件が定められていたが、それに加え、前々期との比較でも認められるようになった。

尚、審査については、中小企業の経営状態を十分に勘案し、2年連続の赤字や債務超過であっても、総合的に与信を判断するとの基本方針が提示されている。

重要なのは消費税対策

最後は税金対策である。赤字である場合には、法人税や法人事業税は課税されないが、消費税の納税義務者である場合には、利益に関係なく消費税が課税される。決算期末時点で消費税納税額を予想し、2ヶ月後の納税に備えておきたい。抜本的対策として、個人成りや法人成りによる免税点制度の活用も考えられる。

税務ニュース№168


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