法人で株式投資をするのはアリかナシか?

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


法人で株式投資をするメリット

最近、NISAのような優遇税制が拡充された影響で、株式投資をする個人の方が増えています。

さらに個人的な実感として、法人で株式投資をされる会社も増えてきているように感じます。

そこで、今回は株式投資を法人でする場合の主なメリット、デメリットをまとめてみようと思います。

法人で株式投資する場合の主なメリットは、2つ考えられます。

1つは、法人の他の事業と損益通算できることです。

法人の場合、もし、株式取引で赤字が出た場合でも、他の事業で黒字になっていれば、損益通算することができます。

個人の場合は、分離課税になっていますので、株式取引による赤字は、他の所得による黒字と損益通算することはできません。

もう1つは、これも株式取引で赤字が出た場合ですが、株式投資に限らず、法人で発生した赤字は、翌年以降10年間繰り越すことができます。

個人の場合も、株式の譲渡損失を繰り越すことができますが、年数は3年しか認められていませんので、法人の方が有利です。

利益が出た場合は、デメリットの方が多い

一方、もちろんデメリットもあります。

株式投資の優遇税制であるNISAは、個人の場合でしか利用できません。法人取引でのNISA利用はできません。

個人では当たり前となっている、特定口座での取引も不可です。

特定口座の場合は、「特定口座取引年間取引報告書」が交付され、源泉徴収がされていれば、譲渡益が出ていても、確定申告不要とすることができます。(譲渡損失の場合は、損失の3年繰越を適用するためには、確定申告が必要です)

法人の場合は、申告不要制度はありませんので、全て株式取引を仕訳で記帳し、申告する必要があります。仕訳も複雑で、処理に手間がかかります。

また、株式取引で譲渡益が出た場合には、法人の場合、法人税だけでなく、事業税もかかることなどから、約30%の税率がかかります(法人の所得が少ない場合には、軽減税率でこれより低くなる場合もあります)。

個人の場合には、所得税と住民税で20.315%の税率で済みますので、譲渡益が出た場合には、個人の方が有利です。

さらに、法人が消費税の課税事業者になっていれば、株式の売却は消費税の非課税売上になりますので、消費税の納税額が少し増える場合があります。

もちろん、税金の有利不利だけで判断できるものでもないと思いますが、これから検討されている方などは、参考にしてみてください。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№910


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