年金時効特例法と税務上の手続き

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

相続・贈与

2007.09.05


年金時効特例法

年金時効特例法があるのをご存知だろうか。この年金時効特例法が施行される前までは年金記録が訂正された結果、年金が増額された場合でも、時効消滅により直近5年間分の年金に限ってしか国は支払ってくれなかった。しかし、これからは年金記録の訂正による年金の増額分は、時効により消滅した分を含めて、本人又は遺族の方に全額が支払われるようになった。

本人に増額支給された年金の税務上の取扱い

公的年金等は、税務上、雑所得として取り扱われることを再確認しておく。
まず、年金記録の訂正により支給された直近5年間分の年金については、本来の支給日の属する年の雑所得として処理される。そして当然だが源泉徴収の対象になる。

確定申告書を提出している人ならば、修正申告する必要がある。また、申告により源泉徴収された税金が還付されるケースもある。

次に、直前5年を超える前の年金については申告不要であり、そのうえ源泉徴収の対象ともならない。その理由は、国税通則法で国税の徴収権の消滅時効を5年と規定しているからである。

遺族に増額支給された税務上の取扱い

年金記録の訂正により年金額が増額された人が既に死亡している場合には、遺族に増額分の年金が支払われることとなる。この場合も取扱いは大きく2つに分かれる。

まず、遺族が直近5年分に年金を受け取るときは、支給を受けた遺族が実際にその支給を受けた年の一時所得として申告する必要がある。このケースは源泉徴収の対象にはならない。

次に遺族が直近5年を超える前の年金を受け取ったときは、国税の徴収権の消滅時効5年を過ぎているため申告不要である。

ここでいう遺族の範囲は、亡くなられた当時生計同一の人に限り、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順になっている。

公的年金って信用していいの?

今回の一連の年金問題報道で、多くの方が「まさか、お上である社会保険庁が書類のミスなどしているとは夢にも思わなかった。」と感じたのではないだろうか。

私たち国民が何か行政の制度を受けようとするときは、ほとんどが申請承認という手続きを必要とする。申請して初めてもらえる年金、児童手当、高額医療費、乳幼児医療制度など忘れていたら、行政からは何の連絡もくれないし、書類に不備があればいちいち印鑑を押すために役所に行かなければいけない。

特に転職を繰り返す若者たちは、年金手帳に加入記録を記入するページがあるので自分で管理するのがよい。

自分で将来に備える

公的年金以外の私的年金も考えておいたほうが良い。つまり、将来の生計維持金額から公的年金額を差し引いた金額は、私的年金でなんとかするしかない。生保の個人年金、銀行の積立預金などあるが、子供の学費がかさむ頃から支払うのは厳しくなるので早い目にライフプランを立てることをお勧めする。

税務ニュース№42


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