損して得取れ!(贈与税)

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

相続・贈与

2016.06.20


贈与税の申告件数は増加中

国税庁が6月1日に公表した「贈与税の申告状況」は下記となっています。

〔贈与税申告書提出人員の総数の推移〕
平成23年分 427,000人
平成24年分 437,000人
平成25年分 491,000人
平成26年分 519,000人
平成27年分 539,000人

〔上記の内、納税が発生するもの〕
平成23年分 274,000人
平成24年分 292,000人
平成25年分 330,000人
平成26年分 366,000人
平成27年分 383,000人

補足すると、贈与税には、「住宅取得等資金贈与」や「教育資金贈与」等の特例があり、「贈与税の申告書の提出は必要でも納税額が0円」というケースがあるため、上記のようなデータとなります。

上記のデータから読み取れるのは、贈与税の申告件数は思いのほか増加中で、更に、贈与税をわざわざ納税してまで申告した方も、同様に増加中ということです。

死ぬ迄待って相続税を払うか、今の内に少ない贈与税を払うか

例えば、自宅や株式や生命保険や預貯金などで、トータル1.5億円の財産のある方の相続税が1,500万円だとします。

〔相続税〕
1.5億円の財産 ⇒ 相続税1,500万円
相続税1,500万円は大金ですが、親が亡くなるまでは税金を払う必要がありません。

これに対して、子供や孫3人に300万円の贈与を10年間実行したとします。

〔贈与税〕
300万円×3人×10年=9,000万円 ⇒ 贈与税19万円×3人×10年=570万円
贈与により相続財産は1.5億円-9,000万円=6,000万円で、相続税はほぼ0円

比較すると、「贈与を実行しないと相続税1,500万円」、贈与を実行すると、贈与税の申告手続きの手間と早いうちに税金を払わないといけないというデメリットはありますが、「贈与税+相続税=570万円」となり、「差額1,500万円‐570万円=930万円お得」となります。

(注)相続開始前3年以内の相続人に対する贈与は、相続税の計算上、持ち戻しの対象となりますので、なるべく早いうちからの贈与がお勧めです。

税金は時に、損して得取れ!

相続財産が多い方は特に、生前贈与はお勧めです。
更にいえば110万円の無税贈与ではなく、あえて贈与税を払わないといけないほどの大型の贈与を実行される方が、結果的に、節税となることが多いです。

生前に贈与税を毎年払っていくのは、一見するともったいないように感じるかもしれませんが、上記データが示すように、賢い納税者は既に、生前贈与をどんどん実行に移されています。
税金は時に、「損して得取れ!」を忘れないようにしてください。

とはいえ、最後に贈与の注意点を申し上げると、贈与を節税だけに目がくらんで実行しないようにしてほしいということです。
贈与は生前の財産分けですから、例えば、「長男にだけこっそり贈与」などしてしまったら、それを後で知った次女はどう感じるか?です。
親が亡くなった後の遺産分割協議の場で、血を見ることになるかもしれません。

また、年老いていけばいくほど、「手元の現金」がとても大切です。贈与し過ぎることのないようにもしましょう。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№494


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