遺言と死因贈与契約
(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。
人が死亡した後、どの財産を誰に渡すのかを明確にしておきたい場合には、『遺言』、『死因贈与契約』といった手段があります。
どちらも同じもののように思いますが、違うものとなります。
もくじ
遺言
自分の死後にその財産や権利関係について誰にどのように渡すのかを法的に有効な形で表明する意思表示です。
遺言は、遺産分割の方法や相続人への財産の配分、あるいは特定の者に財産を遺贈するための手段です。
遺言がある場合、遺産はその遺言を基に分配されることが原則となります。
遺言には主に
1.『自筆証書遺言』…その名の通り自分で作成、不備があると無効になることもあるので作成には注意が必要です。
2.『公正証書遺言』…承認2名立会いの下で公証人が作成するため、不備があることはほぼありません。
また、遺言は何度も作成し直すことができ、最新の日付のものが有効となります。
死因贈与契約
贈与者が死亡した時に初めて効力を生じる贈与契約です。
死因贈与とは、贈与者が存命中にその契約を締結し、死亡時に財産の移転が行われるという点で、生前贈与とは異なります。
また、遺贈に関する規定が準用されるため、贈与を受ける側が放棄することも可能です。
遺留分に関しても適用されるため、相続人以外に贈与する場合等は考慮する必要があります。
どちらがいいのか
□性質の違い
『遺言』は、遺言者が単独の意思で作成することができ、遺言者が生前であればいつでも変更や撤回が可能です。
遺言の内容は、遺言者が死亡したときに効力を発します。
『死因贈与契約』は、贈与者と受贈者の合意によって成立する契約です。
遺言と異なり、双方の合意が必要です。
一度契約が成立すると、贈与者が一方的に撤回することが難しく、解除には原則として受贈者の同意が必要です。
死因贈与契約は、贈与者が死亡したときに効力を発します。
□効力の違い
『遺言』は、遺言者の単独の意思でいつでも変更・撤回が可能であるため、遺言者が自らの判断で効力をコントロールすることができます。
そのため、柔軟性がありますが、遺言内容に不備があったり、形式を満たさない場合、無効となる可能性もあるので注意が必要です。
『死因贈与契約』は、契約が成立した時点で効力が発生します。
贈与者の死亡時に契約の内容が確定します。
契約であるため、受贈者との間で取り決めた条件の変更を行うことは難しいという点はあります。
□遺留分との関係
『遺言』も『死因贈与契約』も相続における遺留分の対象となります。
そのため、相続人が遺留分を請求することができます。
遺留分侵害請求があれば、遺産の一部を相続人に渡さなければなりません。
□どちらも
遺産分割における相続人間の争いを防ぐ。
特定の相続人に多くの財産を残す意思を明確にする。
相続人以外の人や団体に財産を遺贈することができる。
というメリットがあります。
実際の使用場面での優劣
『遺言』は、贈与者が柔軟に内容を変更・撤回できるという点で、計画を変更する可能性が高い人にとっては便利です。
『死因贈与契約』は、あくまでも契約であり受贈者の同意を得る必要があるため、成立すると遺言よりも強い拘束力があります。
そのため、贈与者が後から一方的に変更・撤回することは困難です。
稀にですが、両方が存在する場合は、どちらが有効になるのか。
これは明確にはなく、最終的には裁判所の判決によるところとなってしまうため、作成する場合はどちらかに決めておくといいでしょう。
この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。
メール通信№918
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