上手な贈与の活用の仕方

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

相続・贈与

2010.12.14


暦年課税贈与は時間をかけてじっくりと

年末までに検討もしくは実施しなければならない項目の1つに、贈与がある。自社株の贈与、その他相続対策として生前贈与を考えておられる方は、年内に贈与を実施する必要がある。

贈与税には、暦年課税と相続時精算課税の2つの課税方式がある。暦年課税は、年間110万円までの非課税枠があり、贈与財産がその金額以下であれば、贈与税はかからない。110万円を超えると、超えた金額に対して累進課税で贈与税がかかる。

暦年課税のメリットは、贈与することにより、相続財産を減らせることにある。後述する相続時精算課税と異なり、贈与財産を完全に相続財産から切り離すことができる。相続税が比較的高税率でかかってきそうな場合には、多少贈与税を支払ってでも、生前贈与していく方が有利な場合もあるだろう。

逆にデメリットは、非課税枠が110万円と少額であることだろう。そのため、即効性には乏しく、ある程度時間をかけて贈与していくことが必要になる。

相続時精算課税の選択は慎重に

相続時精算課税は、原則、贈与年1月1日において65歳以上である親から贈与者の推定相続人である20歳以上である子に贈与した場合、2,500万円までの贈与についてはいったん非課税で贈与することができる制度である(2,500万円を超えた部分については、一律20%の贈与税)。贈与財産の種類や金額、贈与回数などに制限はない。この制度を適用するためには、適用を受けようとする最初の贈与があった年の翌年2月1日から3月15日までに、相続時精算課税選択届出書を提出しなければならない。また、贈与税の申告も必要となる。

相続時精算課税は暦年課税と違い、贈与した財産は相続税の計算時に、贈与者(被相続人)の相続財産に足し戻して計算することになる。相続税の節税対策として利用するためには、将来的に時価が上がるような財産を時価が低いうちに贈与したり、収益物件を精算課税贈与し、今後の贈与者の財産増加を抑える、といった使い方が有効である。非課税枠も2,500万円と大きいため、こういった使い方をすれば、相続時精算課税はメリットとなるだろう。

また、相続税がかからない範囲内であったとしても、遺産分割にもめるケースもある。そんな場合には、精算課税贈与を使って、事前に親の意思である程度の財産分けをしておくということも考えられる。

ただし、デメリットもある。相続時精算課税を利用した贈与財産は、相続時に贈与時の価額で相続財産に足し戻されるため、贈与時より時価が下がっていれば不利になる。また、相続時精算課税適用財産については、小規模宅地等の評価減の特例を受けることはできず、物納を検討している場合には、物納財産に充てることもできなくなる。相続時精算課税は、いったん適用すると二度と取りやめることはできないため、選択に当たっては慎重な判断が必要となる。

税務ニュース№204


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