現金1億円を相続税ゼロにする方法とは?

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

相続・贈与

2014.11.04


現金1億円が土地3,200万円に?

相続財産の評価は、財産の種類によってそれぞれ評価方法が異なります。
この評価の仕組みをうまく使えば、相続財産の評価額を大幅に圧縮できる場合があります。

例えば、現金1億円を持っているとします。その場合の評価額は、もちろん1億円です。
その1億円で土地を購入するとします。時価で1億円の土地ですので、相続財産としての評価額も1億円になるかというと、そうではありません。

土地の評価は、路線価を基準として計算されますが、路線価は時価の80%を目安に設定されています。ということは、時価1億円の土地を購入すると、その瞬間、相続財産の評価額は、1億円×80%=8,000万円に下がります。

その土地を他人に貸すと、借地権が発生するため、評価額はさらに8,000万円×(1-0.6)=3,200万円になります(借地権割合60%と仮定)。

現金1億円で賃貸建物を新築すると?

また、現金1億円で建物を新築したとすると、この場合も評価額は下がります。

建物は固定資産税評価額で評価され、固定資産税評価額は建築価額の約60%になりますので、1億円の物件の場合、評価額は1億円×60%=6,000万円に下がります。

その建物を他人に貸すと、貸家として評価減ができますので、さらに評価額は6,000万円×(1-0.3)=4,200万円に下がります。

借入を使えばゼロにはなるが・・・

では、今度はこれを一部借入を使いながら実行するとどうなるでしょうか。

スタートは、まず現金1億円です。この1億円で土地1億円を購入します。さらに、1.5億円を借り入れて、賃貸建物を新築するとします。

土地は、貸家建付地になりますので、1億円×80%×(1-0.6×0.3)=6,560万円となります(借地権割合60%と仮定)。
建物は貸家ですので、1.5億円×60%×(1-0.3)=6,300万円となります。
土地と建物を合わせて、1億2,860万円です。

ただし、借入金が1.5億円ありますので、それを債務として資産から差し引くと残高はマイナス、つまり相続税は0となります。

しかし、この「債務超過」の状態がずっと続くわけではありません。時間が経てば、賃貸収入で現金は増えていき、逆に借入金は返済で減っていき、いずれ「債務超過」は解消されます。そうなれば、相続税が発生することになります。

この「債務超過」の状態のまま、子供に贈与できればいいのですが、借入のついた負担付贈与は、不動産を「通常の取引価額」で評価しなければならないため、上記の評価額が使えず、多額の贈与税がかかりますし、不動産の贈与には不動産取得税もかかります。

不動産贈与を株式贈与にコンバート

実は、この不動産購入は法人で実施する方が有利です。

法人で「債務超過」(相続税評価額ベース)となれば、株式の純資産価額は0円となります。株価が0であれば、株式を子供に贈与しても贈与税はかかりませんし、直接不動産を贈与しているわけではありませんので、不動産取得税もかかりません。

ただし、株価を計算する際に、不動産取得から3年間は、その不動産を相続税評価額ではなく、「通常の取引価額」で評価しなければなりません。株価が0になるのは、相続税評価額が解禁される3年後となります。3年経てば、晴れて贈与実行です。

(なお、今回の例はあくまで単純化したものです。実務上のリスクや問題点につ
いては割愛していますので、ご了承下さい。)

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№410


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