経営者が知っておくべき税制改正速報!

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

相続・贈与

2015.12.21


親が住んでいた家を相続後売却には多額の税金が!

自分が住んでいた家を売却する場合には、税務上、いくつかの特例があり、特に「3,000万円控除」と言われる「売却益から3,000万円を控除してくれる特例」は、効果が大きいです。

しかし、親が住んでいた家を相続で取得し、その後売却する場合には、相続人である子供が居住していないため、通常上記の3,000万円控除は使えません。

更に、このように相続で親から取得する土地というのは、原価である購入価額等が極端に低いことが多いので、結果的に「多額の売却税」が発生することが多いです。

空き家売却3000万円控除の創設

空き家問題は現在社会問題化していることもあり、今回の2016年(平成28年)税制改正大綱で、下記の手当てが予定されています。

―――――――
適切な管理が行われていない空き家が地域住民の生活環境に悪影響を及ぼしていることを踏まえ、こうした空き家の発生を抑制する観点から、相続により生じた空き家であって旧耐震基準しか満たしていないものに関し、相続人が必要な耐震改修又は除却を行った上で家屋又は士地を売却した場合の譲渡所得について特別控除を導入する。
―――――――

来年4月まで売却を待って下さい!

具体的にいうと、
・昭和56年5月31日以前に建築された被相続人の自宅で、
・平成28年4月1日から平成31年12月31日までに、
・必要な耐震改修を行って売却、又は、
・建物を除却した上で更地として売却した場合に、
・3,000万円控除を適用できる
となります。

旧耐震基準の危ない古家のまま放置されると国としても困るので、必要な耐震改修を行って売却したり、古家を除却して売却したりする相続人に優遇措置を与えようというのが、制度趣旨です。

これは、ざっくりとは過去3年以内の相続(厳密には平成25年1月2日以後の相続)でも、来年の4月1月以後の売却であれば対象となりますから、親からの相続自宅を売却しようとお考えの方は、来年4月まで待ってみてはいかがでしょうか。

※具体的な個別相談(相続税の取得費加算との有利不利など)は、末尾のお問い合わせまで連絡下さい。

不動産屋さんはチャンスですよ

今回の改正は、不動産屋さんにはチャンスでないかと思います。

最近相続があった方などにうまくアプローチ出来れば、不動産売却案件を獲得できるかもしれません。

下記で記載しているように、売却対価上限1億円というのがありますが、多くのケースで、相続人の方などに喜んでもらえることと思います。

まさに、ウィンウィンの提案が出来ますよ。

以下、プロの方には必要かと思いますので、税制改正大綱の原文を少し読みやすくして下記に載せておきます。

空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の創設

相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋(昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建築物を除く。)であって、その相続の開始の直前においてその被相続人以外に居住をしていた者がいなかったものに限る。以下「被相続人居住用家屋」という。)及びその相続の開始の直前においてその被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた士地等をその相続により取得をした個人が、平成28年4月1日から平成31年12月31日までの問に、次に掲げる譲渡(当該相続の時から当該相続の開始があった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間にしたものに限るものとし、その譲渡の対価の額が1億円を超えるものを除く。)をした場合には、その譲渡に係る譲渡所得の金額について居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除を適用することができることとする。
なお、住民税においても同様とする。

①その被相続人居住用家屋(次に掲げる要件を満たすものに限る)の譲渡又はその被相続人居住用家屋とともにするその敷地の用に供されている士地等の譲渡
イ.その相続の時からその譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと。
口.その譲渡の時において地震に対する安全性に係る規定又はこれに準ずる基準に適合するものであること。

②その被相続人居住用家屋(イに掲げる要件を満たすものに限る)の除却をした後におけるその敷地の用に供されていた士地等(口に掲げる要件を満たすものに限る)の譲渡
イ.その相続の時からその除却の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと。
口.その相続の時からその譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと。

(注1)その譲渡の対価の額とその相続の時からその讓渡をした日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間にその相続に係る相続人が行ったその被相続人居住用家屋と一体としてその被相続人の居住の用に供されていた家屋又は土地等の譲渡の対価の額との合計額が1億円を超える場合には、本特例は適用しない。

(注2)本特例は、確定申告書に、地方公共団体の長等のその被相続人居住用家屋及びその被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた士地等が上記①又は②の要件を満たすことの確認をした旨を証する書類その他の書類の添付がある場合に適用するものとする。

(注3)相続財産に係る譲渡所得の課税の特例との選択適用とするほか、居住用財産の買換え等の特例との重複適用その他所要の措置を講ずる。




※今回の内容は、国会を通過するまでは正式な決定事項ではありませんのでご注意ください。(政治が安定していますのでこのまま決まる可能性が高いと思われますが)。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№468


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