小規模宅地の評価減をフル活用する!

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

相続・贈与

2013.04.22


今後は、小規模宅地の評価減がより重要に

相続税の基礎控除引き下げで、相続税大増税時代が平成27年から始まります。
合わせて、「小規模宅地の評価減」については、平成27年から拡大することが決まっています。今後の相続税を左右するのが、この「小規模宅地の評価減」です、この評価減をいかにうまく活用できるかで、明暗が分かれます。

最もよく使われるのは、「特定居住用宅地等」でしょう。これは、被相続人又は被相続人と生計を一にする被相続人の親族の居住用宅地です。現在は、「240㎡まで80%減」となっていますが、平成27年からは「330㎡まで80%減」となります。

どうすれば適用が受けられる?

話を簡単にするために、被相続人の居住用宅地等と仮定すると、この評価減の特例が受けられるのは、取得者ごとに下記の場合になります。

□配偶者
無条件でOK

□同居親族
①相続開始の時から申告期限まで、引き続き居住
②相続開始の時から申告期限まで、引き続き所有

□非同居親族
①被相続人の配偶者又は相続開始の直前において被相続人と同居していた一定の親族がいない
②相続開始前3年以内に日本国内にある自己又は自己の配偶者の所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除く)に居住したことがない
③相続開始の時から申告期限までその宅地等を有している人
(※相続開始の時に日本国内に住所がなく、かつ、日本国籍を有していない人を除く)


上記に該当する方が誰もいなければ、この評価減の適用は受けられません。

例えば、2次相続で配偶者はいない、誰も同居していない、相続人は全員持ち家に住んでいる、というような場合です。
この場合、評価減を受けようとすると、次のような対策があります。

・相続人の誰かが同居する
→「同居親族」として適用

・相続人の持ち家を売却し、賃貸に引っ越す
→「非同居親族」として適用

・相続人の持ち家を賃貸に出し、自分は賃貸に引っ越す
→「非同居親族」として適用

・「非同居親族」の要件を満たす孫を養子にする

(あくまで例です。実際には、もっと大局的見地からの判断が必要です。)


また遺産分割のやり方にも、ひと工夫が必要です。

例えば、特定居住用宅地等の面積が600㎡だとします。この場合、1次相続で配偶者に300㎡、同居の子供に300㎡相続し、2次相続で、前回配偶者が取得した300㎡を同居の子供に相続させると、相続が平成27年以後に発生したとすれば、2回の相続で600㎡の全部に対して80%の評価減が受けられることになります。

生前贈与の良し悪し

相続対策において有効な手段の1つに、生前贈与があります。暦年課税の年間非課税枠110万円を活用して、贈与を行っていくというものです。

ただし、特に不動産の生前贈与を行う場合には、小規模宅地の評価減との関係を考えておかないといけません。

小規模宅地で80%評価減が受けられる土地なら、相続税評価額は20%になりますが、生前贈与するときには100%の金額を基準に贈与していかなければなりません。
同じやるなら、小規模宅地の評価減の適用がない不動産を優先すべきです。

暦年贈与の場合には、相続開始前3年以内の贈与は相続財産に足し戻されますが、足し戻されても小規模宅地の評価減の対象にはなりません。これも注意点の1つです。

また、小規模宅地とは直接関係ありませんが、不動産を贈与した場合には、不動産取得税が課税されます。不動産を相続で取得した場合には、不動産取得税は非課税です。
不動産の場合には、こういった贈与税や相続税以外の税金にも要注意です。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№332


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