相続増税後の切り札!『小規模宅地の評価減』-4

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

相続・贈与

2013.09.24


老人ホーム入居の場合の取扱い

長くなりましたが、今回がこのシリーズ「相続増税後の切り札!『小規模宅地の評価減』-1」「相続増税後の切り札!『小規模宅地の評価減』-2」「相続増税後の切り札!『小規模宅地の評価減』-3」の最終回です。

さて今回のテーマは、以前までに説明した小規模宅地の評価減における「特定居住用宅地等=被相続人の自宅」についてです。

最初は、「老人ホーム入居」の場合の取扱いです。
問題は、被相続人が老人ホームに入居してその後亡くなった場合に、被相続人の自宅について、小規模宅地特例が使えるのかどうかです。

〔改正前〕
原則的には、適用不可。

但し、下記4要件を満たせば適用可能。

1.被相続人の身体又は精神上の理由により介護を受ける必要があるため、老人ホームへ入所することとなったものと認められること
2.被相続人がいつでも生活できるようその建物の維持管理が行われていたこと
3.入所後あらたにその建物を他の者の居住の用その他の用に供していた事実がないこと
4.その老人ホームは、被相続人が入所するために被相続人又はその親族によって所有権が取得され、あるいは終身利用権が取得されたものでないこと

つまり、終身利用権を取得するようなケースでは、問答無用で適用不可となります。

〔改正後〕平成26年~
平成26年からは下記2要件となり、大幅に緩和措置が図られ、今後は老人ホームに被相続人が入居する場合でも、貸付け等の用途に使用されていなければ、特定居住用宅地等として80%減額特例の可能性があります。

1.被相続人に介護が必要なため入所したものであること(要介護又は要支援認定されていればOK、無届出老人ホームは適用不可)
2.その家屋が貸付け等の用途に供されていないこと

つまり、改正前の2と4が不要となります。
もちろん、終身利用権を取得した場合も適用可能です。

生前相続対策としては、小規模宅地の評価減を受けたいのであれば、老人ホーム入所後も他人に貸さない事となりますが、これは家賃収入等他の事項との兼ね合いにもなりますので、トータル判断が必要です。

二世帯住宅の取扱い

次は、「二世帯住宅」の取扱いです。

〔改正前〕
構造上区分されていて内部で行き来ができない二世帯住宅では、被相続人が居住していた独立部分以外の独立部分に居住していた親族については、原則、小規模宅地の評価減は適用不可。

但し、特例として下記3要件をすべて満たして同居親族として申告をすれば,構造上区分されている共同住宅としての二世帯住宅でも,親族の居住部分も含めて全体が特例の対象になります。

1.住宅の全部を被相続人又はその親族が所有
2.適用を受ける親族が被相続人の相続開始直前に居住の用に供していた独立部分以外の独立部分に居住
3.被相続人に配偶者又は被相続人の独立居住部分において同居親族がいない

〔改正後〕平成26年~
原則として、二世帯住宅について、住宅内部で行き来ができるかどうかに関わらず、その敷地全体に対して小規模宅地の評価減の適用可能。

但し、建物を区分所有登記している場合には、原則として、被相続人居住部分についてのみ適用可能。

区分登記したら小規模宅地受けられない?

現行の法令を見る限りは、二世帯住宅で建物を区分所有登記をした場合には、平成26年以後は、同居親族居住部分については原則として小規模宅地の評価減が受けられないようです(区分所有登記する理由は住宅ローン控除の適用のため等です)。
ちなみに改正前では、上記3要件を満たす場合には、たとえ建物を区分所有登記していても、適用可能でした。

ということで、ここからは予想となりますが、「通達などにおいてこの不合理が解消されるのではないか」と考えています。

つまり、区分所有登記するかどうかに関わらず小規模宅地の評価減が受けられるように何らかの手当てがなされるのではないかと(勝手に)推測しています(マンション等は除く)。

ということで、二世帯住宅の区分所有登記関係については、また詳細わかり次第お伝えすることにします。

(注)二世帯住宅については深く考えると若干わかりづらいのですが、例えば、構造上の区分がされず玄関一つで内部が行き来できるような構造であれば、そもそもそこに住んでいる人たちは当然に「同居親族」となり、前回みたように、申告期限までの居住・所有継続を満たせば、全体を特定居住用宅地等として80%減額特例が可能となります。

※小規模宅地の評価減については、ここに書いた事以外に細かな規定等がありますが、このメール通信では簡略化しています。
中小企業経営者等が大枠を掴めるようにしていますので、その点ご留意下さい。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№354


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