相続増税後の切り札!『小規模宅地の評価減』-3

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

相続・贈与

2013.09.17


前回までの復習

前回までに「相続増税後の切り札!『小規模宅地の評価減』-1」「相続増税後の切り札!『小規模宅地の評価減』-2」をお伝えしました。

おさらいをすると、今後の相続税増税にあたっては、今まで以上に、「小規模宅地の評価減を上手に受けられるかどうか」(自宅や同族会社への貸地等の評価が8割減となる)が、相続税の節税という観点では重要です。

そして小規模宅地の評価減が受けられるように、 「生前に準備」しておく事をお勧めしました。

更には、その小規模宅地の評価減での自宅の取り扱いについて、「配偶者が取得するケース」、「同居親族が取得するケース」、「別居親族が取得するケース」に分けて、それぞれの概要とポイントをお伝えしました。

特定同族会社事業用宅地等(上限400㎡、改正後も同様)

今回は、自宅土地ではなく、「事業用の土地に対する小規模宅地特例」についてです。

事業用の場合大きく3つ(特定同族会社事業用、特定事業用、貸付事業用)あるのですが、中小企業で考えた場合に一番影響が大きいのが、この「特定同族会社事業用宅地等」です。

特定同族会社事業用宅地等とは、相続開始直前から相続税申告期限まで、同族会社の事業(貸付事業を除く)として利用されていた宅地等で、次の全ての要件に該当する被相続人の親族が相続等により取得したものをいいます。

取得する親族の要件
・申告期限においてその同族会社の役員であること
・その宅地等を申告期限まで所有していること

〔ポイント〕
イメージとしては、父所有の土地を、同族会社の工場や事務所として利用しているケースです。

結構ありますよね。
ただし、ここで生前対策でもある注意点があります。

注意点としては、「タダで貸していてはダメ」だということです。
タダで貸す=使用貸借、きちんと賃料をもらう=賃貸借となり、上記の400㎡まで80%減額特例である特定同族会社事業用宅地等の恩典を受けようとすると、賃貸借が条件となります。

該当する方は、今からでも契約変更をご検討下さい。
ちなみに、以前にも書きましたが、改正後の平成27年以後は、自宅330㎡と合わせて最大330㎡+400㎡=730㎡について、その土地の評価が8割減となります。

このあたりをうまく生前に工夫できると、相続税の大幅節税となるでしょう。

貸付事業用宅地等(上限200㎡、改正後も同様)

貸付事業用宅地等とは、相続開始直前において被相続人等の貸付事業用として利用されていた宅地等で、申告期限までの事業継続・所有継続要件を満たす被相続人の親族が相続等により取得したものをいいます(50%減額)。

〔ポイント〕
貸付事業用宅地等については、直接、改正がなかったのですが、「自宅敷地240㎡→330㎡に拡充」及び「自宅と特定同族会社のダブル適用可能=330㎡+400㎡=730㎡に拡充」の影響で、結果的にその使える枠が広がるケースが出てきます。

貸付事業用宅地等がある場合には、専門の顧問税理士等に連絡し、
・まず、どの宅地等でどの特例(特定居住用、特定同族・・・)受けるのが最も効果が高いのか
・次に、改正後、貸付事業用宅地等の使える枠が広がるのかどうか
を確認されておくといいでしょう。

小規模宅地の評価減については、他にも、個人事業をしている場合に、その事業用敷地について400㎡まで80%減額特例が受けられる、「特定事業用宅地等」というものもあります。

次回は、このシリーズの最終回「相続増税後の切り札!『小規模宅地の評価減』-4」として、「老人ホーム入居の場合の取扱い」及び「二世帯住宅の取扱い」について改正点を踏まえてお伝えする予定です。

※小規模宅地の評価減については、ここに書いた事以外に細かな規定等がありますが、このメール通信では簡略化しています。
中小企業経営者等が大枠を掴めるようにしていますので、その点ご留意下さい。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№353


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