相続増税後の切り札!『小規模宅地の評価減』-2

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

相続・贈与

2013.08.19


今まで以上に生前の準備が大切

前回「相続増税後の切り札!『小規模宅地の評価減』-1」お伝えしたかったのは、今後の相続税増税にあたって、今まで以上に、 「小規模宅地の評価減を上手に受けられるかどうか」 (自宅や同族会社への貸地等の評価が8割減となる)が、節税においては重要であるという事です。

そして小規模宅地の評価減が受けられるように、 「生前に準備」しておく事をお勧めしました。

ちなみに、小規模宅地の評価減は土地について受けるもので、建物については適用がありません(建物評価は元々低額であるケースが多いです)。

では、具体的にどんな準備が必要なのかも含めて、小規模宅地の評価減のおおまかな適用要件を見ていきましょう。
まずは、被相続人の「自宅」において評価減を受ける場合です。

被相続人の自宅は3パターンある(上限240㎡、改正後は330㎡)

被相続人が生前に居住していた自宅においては、概ね下記の3パターンがあります(他にも生計一親族居住物件も対象可能性ありですが今回は割愛)。

1.配偶者が取得するケース

残された配偶者の居住の確保は道徳的に重要ですので、税務上も特に詳細要件無しで小規模宅地の適用可能

〔ポイント〕
自宅を配偶者が取得すれば小規模宅地の評価減で概ね8割減となるのですが、配偶者取得相続財産には元々、「1.6億円又は相続財産×配偶者の法定相続分まで非課税」という規定があります。

また、次に配偶者が亡くなったときに下記の小規模宅地の要件を満たしていないのであれば、その自宅は10割評価をされます。
更には、その後売却するのかどうかなども考慮する必要があります。

つまり、どんなケースでも自宅は配偶者が取得すればいいということはなく、「二次相続なども含めて考える必要がある」ということです。

このことは家族全体での相続税を考えた場合に、非常に重要です。
最終的にこのあたりの詳細は税理士等のプロにお願いしたほうがいいでしょう。

2.同居親族が取得するケース

例えば同居している子供夫婦と一緒に被相続人が暮らしているようなケースで、
その子供夫婦が引き続きその自宅に住み続けられることも道徳上重要ですので、
税務上も「相続税の申告期限まで所有・居住」を要件に小規模宅地の適用可能

〔ポイント〕
同居親族である子供が相続してすぐに売ってしまうようなケースでは、税務上保護する必要がないと考えて、通常亡くなってから10ケ月後の申告期限までの所有・居住を要件にしています。
もし売却などを検討されている場合で小規模宅地の評価減をとりたい場合は、少なくとも申告期限まで所有・居住を継続してください。

また、相続申告期限後3年以内の売却は、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」といって、売却益課税を軽減する特例がありますので、覚えておいて下さい。

3.別居親族(家なき子)が取得するケース

例えば、1人暮らしの親が亡くなって、賃貸暮らしの子供夫婦がその自宅を相続しすぐに売却しないようなケースについても、例外的に「家なき子特例」として、下記4つの要件を満たす場合に小規模宅地の適用可能

①被相続人に配偶者及び同居親族がいないこと
②相続開始前3年以内に日本国内にある自己又は自己の配偶者の所有家屋に居住したことがないこと
③その宅地等を相続税の申告期限まで所有していること
④相続開始時に日本国内に住所を有している又は日本国籍を有していること

〔ポイント〕
色々と要件があるので、若干わかりにくいかもしれませんが、逆に適用できるケースを記すと以下のようになります。
・持ち家に居住したことがない相続人が相続するケース
・持ち家はあるが賃貸に出している相続人が相続するケース
・海外の持ち家に居住する日本国籍を有する相続人が相続するケース

持ち家はあっても賃貸に出していれば適用可能(相続開始前3年以内要件有り)、持ち家が海外財産であれば適用可能となっています!
また、申告期限までの「所有」は要件ですが「居住」する必要はないので、いずれ売却予定でもかまいません。

小規模宅地の評価減については、その効果が大きい事と、制度改正等もあって複雑多岐にわたっている事もあり、伝えたいことがたくさんあります。


ということで、まだ数回この続きを書きたいと思います。この続編は、「相続増税後の切り札!『小規模宅地の評価減』-3」でお伝え致します。

※小規模宅地の評価減については、ここに書いた事以外に細かな規定等がありますが、このメール通信では簡略化しています。
中小企業経営者等が大枠を掴めるようにしていますので、その点ご留意下さい。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№349


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