遺留分って何?

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

相続・贈与

2008.10.27


さて、今回は相続が争族になる前に是非知っておいて欲しい「遺留分って何?」についてお伝えします。

民法の特例

この10月1日に「経営承継円滑化法」が施行されました。この法律は①遺留分に関する民法特例 ②金融支援 ③非上場株式等に係る相続税の納税猶予を柱として構成されています。

①遺留分の民法特例は、平成21年3月1日に施行され、中小企業者を対象として自社株や事業用資産が遺留分減殺請求によって分散されないように考えだされたものです。

そこで、この新しい法律をより理解していただくために今後よく出てくる用語となるであろう「遺留分」についてお送りします。

遺留(いりゅう)分とは?

わが国の民法では、自分の財産を生前も死後(遺言)であっても自由に処分することができます。ということは、極端な話ですが愛人に全財産をあげるという遺言さえ書いておけば、愛人に全ての遺産を残せる・・・とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、被相続人の財産はやはり家族の貢献があってこそ作れたものであり、被相続人の財産で生活していた相続人にとって財産がなくなるということは死活問題となるしょう。

そこで、民法では、自分の財産を自由に処分できるとしておきながら、一定の相続人に一定の財産をもらう権利を認めています。これを「遺留分」といいます。

遺留分とは、「形成権」であり、「形成権」とは相手方の承諾を必要とせず、権利の一方的な意思表示で効力を生じる権利のことです。

先程のように、万が一親が遺言書で全財産を他人にあげると書いていたとしても、自分の遺留分に相当する財産を請求することができます。これを「遺留分減殺(げんさい)請求」といいます。

遺留分権利者

遺留分を有する相続人は、兄弟姉妹及びその兄弟姉妹の子供を除く法定相続人です。具体的には、配偶者、子供(代襲相続人、いわゆる子供がなくなった場合の孫)、直系尊属(父母、祖父母等)が該当します。

遺留分の割合

遺留分の割合は、原則として各遺留分権利者が有する遺留分の合計が被相続人の相続財産の1/2とされています。ただし、遺留分権利者が直系尊属のみの場合相続財産の1/3とされます。

遺留分減殺請求

遺言書に書かれていた相続分が遺留分以下であっても、本人が納得すれば何の問題にもなりません。しかし、親から生前に何の説明もない等、納得がいかない場合には、自分の遺留分に相当する財産額まで遺留分を侵害した人に対し、直接請求できます。

なお、この遺留分減殺請求は被相続人の死亡を知ったときから1年以内に行わなければなりません。また、減殺請求の時効は、被相続人が死亡したときから10年となります。

遺留分の計算

遺留分算定の基礎財産は次により算出します。

基礎財産=相続開始時の財産 + 1年以内の贈与 + 特別利益 - 債務

「特別利益」とは、被相続人から相続人に対して「婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本としてなされた贈与」と定められています。
簡単にいうと、「1年以内の贈与」とは異なり、何年前にされた贈与であっても相続時の時価で基礎財産を構成してしまうものです。

そして、この基礎財産を基に遺留分が計算されます。

例えば、事業承継人である息子に生前に自社株を贈与していたとしても、遺留分の計算においてはこの贈与額が相続時の時価で足し戻しされてしまうのです。

これでは、事業承継が円滑に行われないということで、先述の「経営承継円滑化法」ができました。「経営承継円滑化法」の詳細は以下のHPをご覧下さい。

【弊社コラム|遺留分が変わる!その1】
https://www.money-c.com/column/succession_list/other_succession/793/

【弊社コラム|遺留分が変わる!その2】
https://www.money-c.com/column/succession_list/other_succession/795/

今日の話が少しでも経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№104


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