中小M&Aガイドライン、トラブル防止のための改訂、何が変わるの?

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


M&Aをより安心なものへ…中小M&Aガイドラインを改訂

中小企業庁が8月末に【中小M&Aガイドライン】を改訂しました。

背景には、M&Aでトラブルが多数起きていることにあり、今回の改訂により市場における更なる環境整備と、支援機関における支援の質の向上を図ろうとしています。

※中小M&Aガイドライン とは…
M&Aの手続きや留意点、手数料の目安など基本的な事項や、M&A業者等に対しての適切なM&Aのための行動指針などが記載されたもの。
譲渡(売手)企業・譲受(買手)企業はもちろん、M&A業者などへ向けても作成された内容となっている。

今回は、どんなことに注意し、不安を感じたらどこに相談したらよいかを解説致します。

改訂事項から見えてくるトラブルとは

中小M&Aガイドラインの改訂概要は下記となります。

(1)仲介者・FA(フィナンシャル・アドバイザー)の手数料・提供業務に関   する事項
(2)広告・営業の禁止事項の明記
(3)利益相反に係る禁止事項の具体化
(4)ネームクリア・テール条項に関する規律
(5)最終契約後の当事者間のリスク事項について
(6)譲り渡し側の経営者保証の扱いについて
(7)不適切な事業者の排除について

◇出典元:経済産業省|「中小M&Aガイドライン」を改訂しました
 https://www.meti.go.jp/press/2024/08/20240830002/20240830002.html

現在、M&Aでは下記のようなトラブルが発生しており、更なる被害発生を防ぐためにも、改訂が行われました。

トラブル事例1

売手の財務状況が厳しく、経営者の個人保証の移行が重要になる案件で発生。

譲渡契約が成立し、会社を譲渡後、売手経営者の個人保証について、売手から買手に何度依頼しても、契約に基づいた個人保証の移行がなされなかった。

その上で、買手が売手会社の現預金等の資産を買手会社に移動。必要な事業資金が送金される約束となっていたが、再三の要請にも関わらず送金がなされず、売手は倒産。

この結果、経営者保証が残っていた売手経営者が債務を負うこととなり、個人破産に至ってしまった。

トラブル事例2

M&A業者からの営業行為の停止を要求しているのにも関わらず、別の電話番号、別の担当者からの電話が繰り返しかかってくる。

不安に感じたり、困ったときの連絡先

では、M&Aの進行や交渉相手、M&A業者に対して不安を感じた際は、どのようにしたら良いのでしょうか?

セカンドオピニオンという手段もありますが、下記の選択肢もございます。

・各都道府県の事業承継・引継ぎ支援センター
 https://shoukei.smrj.go.jp/

・M&A支援機関登録制度の情報提供窓口
 https://ma-shienkikan.go.jp/inappropriate-cases   など

◇出典元:中小企業庁|M&Aに関するトラブルにご注意ください  https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/download/m_and_a_trouble.pdf

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№915


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