従業員を1人増やすだけで、株価が下がる?

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


自社株評価の基本は、類似業種と純資産

平成29年度税制改正で、非上場株式等の評価方式が見直され、平成29年1月1日以後の相続・贈与から改正後の評価方式が適用されます。

自社株の贈与をされる方や、相続税のシミュレーションをされている経営者の方には影響があると思われますので、概要をお伝えさせて頂こうと思います。

非上場株式等の評価方式は、大きく類似業種比準価額と純資産価額の2種類があります。
類似業種比準価額は、配当、利益、純資産の3要素について、同業種の上場企業の数値と比較して、算出する方法です。
純資産価額は、自社の資産を全て課税時期における相続税評価額に直して計算する方法です。

この2つの評価方法を、会社の規模に応じて組み合わせます。

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・大会社:類似業種比準価額と純資産価額の低い方

・中会社:類似業種比準価額と純資産価額の折衷方式(純資産価額が上限)
 中会社の大→類似:純資産=9:1
 中会社の中→類似:純資産=3:1
 中会社の小→類似:純資産=3:2

・小会社:純資産価額と「類似業種比準価額×0.5+純資産価額×0.5」の低い方
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改正で株価が上がる会社、下がる会社

平成29年度税制改正では、上記計算方式について、いくつか改正が行われていますので、実務上重要なポイントのみ、具体的にご紹介したいと思います。(詳細については、税理士等の専門家にご確認下さい)

◆利益水準が高い会

類似業種比準価額の計算において、利益の比準割合が従来の3分の1に改正されたため、利益水準が高い会社については、株価が下がる可能性があります。

これは裏返せば、多額の役員退職金などで赤字を出しても、これまでほど株価は下がらないということでもあります。

◆従業員数70人以上で大会社になれる

これまでは、大会社に該当するには従業員が100人以上必要でした。今回の改正でその基準が70人に引き下げられました。
一般的には、会社規模が大きくなると、純資産価額より類似業種比準価額の方が低くなります。

中会社の場合は、必ず純資産価額との折衷になりますから、株価が高めに出ることが多くなります。もし、大会社に該当すれば、類似業種比準価額が100%使えるようになりますので、株価が下がる可能性があります。

極端な話ですが、従業員数を69人から70人にしたら株価が下がる、ということもありえます。

◆売上を上げれば、株価が下がる?

中会社については、類似業種比準価額と純資産価額の折衷方式になりますが、同じ中会社でも、会社規模が大きくなるほど類似業種比準価額の比率が高くなります。

今回の改正で、中会社の会社規模についての全判定基準が引き下げられましたので、中会社内で会社規模を引き上げることが、今までより簡単にできるようになりました。
例えば、「卸売業、小売・サービス業」以外なら従業員数が5人以下でも、売上が4億円以上あれば、中会社の大に該当します。

もし、類似業種比準価額の方が低ければ、この場合、類似業種比準価額が9割使えます。

◆内部留保は厚いが、利益水準が低い会社

類似業種比準価額の計算において、相対的に純資産の比準割合が高くなりましたので、内部留保の厚い会社については、株価が上がる可能性があります。

◆業種によっては、改正前後で大幅に株価が変わることも

今回の改正で、類似業種比準価額の比準対象である上場会社の数字の取り方が変わりました。業種によっては改正前後で大幅に株価が増減する例もあるようです。

気になる方は、株価を再計算してみることをおすすめします。

なお、弊社でも株価計算及び株価引下げ対策を行っております。初回相談は無料とさせて頂いておりますので、お気軽にご相談下さい。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№551


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