まずは特例承継計画を提出!法人版事業承継税制

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


中小企業の株式贈与に係る税金を100%納税猶予

2025年末までに、70歳を超える中小企業等の経営者は約245万人であり、うち約半数の127万人が後継者未定と言われています。

現状を放置し、中小企業の廃業が急増すると、10年間の累計で約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われる恐れがあります。

こうしたなか、中小企業の円滑な世代交代を通じた事業の持続的な発展を確保するための一つとして、税制優遇制度=法人版事業承継税制が設けられています。

法人版事業承継税制とは、後継者である受贈者・相続人等が、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度です。

この法人版事業承継税制には、2つの制度があります。
・一般措置
・特例措置

特例措置は、平成30年度税制改正において10年間の時限措置です。

納税猶予の対象となる非上場株式等の制限(総株式数の2/3まで)の撤廃や、納税猶予割合の引上げ(80%→100%)等、一般措置よりも運用上、使い勝手が良くなりました。

【具体例】
製造業、年商3億円、従業員数20人

先代が体調を崩し出社頻度が低下し、経営面の不安から、息子に経営承継を打診。息子がこれを機に、サラリーマンから転身し、入社3年後には社長に就任。

特例措置を活用し、株式の贈与を実行。
事業承継時に係る贈与税・相続税、1億円の100%納税猶予。

「特例承継計画」の提出期限は令和5年3月31日

一般措置より使い勝手の良い特例措置の適用を受けるに当たって、適用要件を確認のうえ、会社の後継者や承継時までの経営見通し等を記載した「特例承継計画」を策定します。

これに、認定経営革新等支援機関(税理士、商工会等)の所見を記載の上、令和5年3月31日までに都道府県知事に提出し、その確認を受ける必要があります。

つまり、この「特例承継計画」の確認を受けることによって、初めて法人版事業承継税制の特例措置を選択できるシード権を獲得したと言えます。

なお、あくまでもシード権であるため、実際に事業承継税制を実行する必要はありません。

その後、平成30年1月1日から令和9年12月31日までの10年以内に非上場株式等の贈与・相続等を行います。

しかし、ここからは非常に複雑な制度で、煩雑な事務手続きが長期間に渡って(後継者が死亡するまで)必要となるうえ、いったん選択してしまうと、取り消すことができないため、実行に当たっては慎重な判断が必要です。

途中で辞める場合は、猶予税額を利子税とともに納付しなければなりません。

自社株評価が高い場合に、検討されてはいかがでしょうか?

参考:国税庁「非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku-zoyo/201905/01.pdf

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

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