経営者個人保証と事業承継(経営者保証に関するガイドラインより)

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


今年2/1から融資における経営者個人保証が変更に

銀行から融資を受けるときに、多くの企業が経営者の個人保証を同時に行っていると思います。
つまり、会社が倒産となった時には、その借金が経営者個人にまで追求されるということです。

この経営者保証について、2/1から新しいガイドラインがスタートしています。

【経営者保証に関するガイドライン】

http://www.jcci.or.jp/chusho/kinyu/131205guideline.pdf

【「経営者保証に関するガイドライン」Q&A】

http://www.jcci.or.jp/chusho/kinyu/131205guideline-qa.pdf


経営者保証に関するガイドラインに法的拘束力はありませんが、金融庁や中小企業庁によって、積極的な活用が促されています。

社長の息子の保証はとらせない!

銀行などの金融機関からすると、融資などを実行する時に、出来るだけ多くの保証を獲得しようと動きます。

会社が傾いても経営者などから資金回収が図れるようにと、融資の保全に力を入れるためです。

今までは言われるがままという部分もあったかと思いますが、今後はこのガイドラインを使って、積極的に自社に有利になるようにアプローチを図るべきです。

例えば、ガイドラインのQ&Aでは以下の記載があります。

――――――
金融機関においては、経営者以外の第三者保証を求めないことを原則とする融資慣行の確立が求められており、やむを得ず事業承継予定者に保証の提供を求める場合も、現経営者の健康上の理由という特別の事情を要件としています。
よって、それ以外の場合、事業承継予定者の保証は原則取らないという考え方です。
―――――

会社の業績は良くないのだけれど、社長の息子が実質的な経営幹部に育ってきた時に、会社の新規融資等で、銀行から社長の息子を連帯保証に加えて欲しいと暗に要請されるようなことがありませんでしたか。

今後は、そのような場合には、(穏便な話し合いの中で)ガイドラインの事を税理士から聞いたんだけど、と話してみてはいかがでしょうか。

事業承継時には、当然に旧社長の保証は外す!

また、ガイドラインには下記の記載もあります。

Q.前経営者に係る既存の保証契約を事業承継時に解除するために、前経営者や後継者はどのように対応すればよいのでしょうか。

A.例えば、以下のような取組みが考えられます。
①前経営者は、実質的な経営権・支配権を有していないことを対象債権者に示すために、中小企業の代表者から退くとともに、支配株主等に留まることなく、実質的にも経営から退くこと(併せて当該法人から報酬等を受け取らないこと)。

②前経営者が、主たる債務者から社会通念上適切な範囲を超える借入等を行っていることが認められた場合は、これを返済すること。

③対象債権者にとって、法人の資産・収益力では既存債権の回収に懸念が残り、前経営者との保証契約以外の手段では既存債権の保全が乏しい場合には、前経営者の資産のうち、具体的に保全価値があるものとして対象債権者が認識していた資産と同等程度の保全が、後継者等から提供されること。


事業承継する時に、父親(旧社長)の保証を外すためには、
①退職するだけでなく、株式についても後継者に相続時精算課税制度等を使って渡す
②過剰な借金の場合はその定義も含めて要交渉
③やむを得ない場合は、物的保証で対応する

今後は、これらを組み合わせて膝を突き合わせた交渉を行うと、今まで難しかった「事業承継時の旧社長の保証外し」も可能になるケースが多く出てくるものと思われます。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№372


Copyright all rights reserved By マネーコンシェルジュ税理士法人

その他の最新税務関連ニュース

大阪税理士コラムのカテゴリー一覧

税務情報を「メール通信」「FAX通信」「冊子」でお届け。

中小企業の経営者及び総務経理担当者・相続関係者向けに、「知って得する」「知らないと損する」税務情報を、メルマガ、FAX、冊子の3種類の媒体でお届け。
配信日時などの詳細は下記をクリックしてご確認下さい。
会計事務所の方はご遠慮頂いております。

  • メール通信 ご登録&ご案内
  • FAX通信 ご登録&ご案内
  • 冊子媒体 ご登録&ご案内

今なら初回面談無料!
お気軽にお問い合せください。

0120-516-264受付時間 9:00~17:30(土日祝休)

メールでのお問い合せ

ページトップ