簡易課税におけるみなし仕入れ率を増税改正

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


平成26年度税制改正大綱が昨年12月12日に発表された。今回は、そのうちの消費税簡易課税制度におけるみなし仕入率についてお知らせする(ただし、国会で成立するまでは確定事項ではありませんので、ご了承ください)。

改正に至った経緯

平成24年10月に、会計検査院から「消費税の簡易課税制度について」に関する報告書が公表された。それによると、簡易課税制度適用者について事業区分ごとにみなし仕入れ率と課税仕入率の平均を比較すると、みなし仕入率が全ての事業区分において課税仕入率の平均を上回っていた。その中でも後述する第5種事業の課税仕入率の平均は、みなし仕入率との開差が顕著な状況となっていた。これにより、価格を通じて消費者が負担している消費税相当額のうち国庫に納付されない部分が事業者に残ることになり、いわゆる「益税」が発生し、消費税に対する国民の信頼性を損ねることとなると指摘されている。

改正案では保険業のみなし仕入れ率は50%に

現行における簡易課税制度に係るみなし仕入率は、事業区分に応じ、以下のように定められている。

第1種:90%(卸売業)
第2種:80%(小売業)
第3種:70%(製造業、建設業、鉱業、農林水産業等)
第4種:60%(飲食店業、金融・保険業等、第1・2・3・5種事業に該当しない事業)
第5種:50%(不動産業、運輸通信業、サービス業(飲食店業を除く))

消費税率の引き上げを前に、課税の公平という観点から、消費税の簡易課税制度に係るみなし仕入率について、次の見直しが行われる予定である。

(1)金融業及び保険業を第5種事業とし、そのみなし仕入れ率を50%(現行60%)とする。

(2)不動産業を第6種事業とし、そのみなし仕入れ率を40%(現行50%)とする。

これらは、平成27年4月1日以後に開始する課税期間から適用される予定である。
ご承知の通り、保険代理店は日本標準産業分類において保険業に該当するため、簡易課税を選択している保険代理店については、消費税納税額が増加することになる。

例えば、課税売上高3,150万円(税込)の代理店収入の場合、現行では、3,150万円×5/105×(100%-60%)=60万円だが、改正後はみなし仕入れ率と消費税率が変わるため、3,240万円×8/108×(100%-50%)=120万円となり、納税額が60万円増えることになる(消費税率8%で計算)。

税務ニュース№353


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