株式保有特定会社の判定基準、判決を受け改正へ

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

相続・贈与

2013.07.23


大会社の判定基準は、「50%以上」へ

平成25年5月に、財産評価基本通達における大会社の株式保有特定会社の判定基準について改正が発表されている。これは、相続税や贈与税を計算する際の、取引相場のない株式の評価方法についての改正である。

取引相場のない株式の評価は、通常、国税庁が定めた財産評価基本通達により行う。財産評価基本通達では、原則的評価方式として、類似業種比準価額方式、純資産価額方式、その2つの併用方式の3種類があり、それらの評価方式は、会社規模別に定められている。

ただし、会社規模だけでは適正な評価方式を定めることはできないため、特殊要因を持つ会社については、別途判定基準を設けている。その1つが、株式保有特定会社である。

従来は、株式保有割合(評価会社の有する各資産の価額の合計額のうちに占める株式等の価額の合計額の割合)が25%以上である大会社を株式保有特定会社とし、その株式の価額を類似業種比準価額方式ではなく、原則として純資産価額方式で評価することとしていた。

しかし、この取扱いを巡って裁判が起きる。ある相続人が取得した会社の株式について、その会社が大会社であり、株式保有割合が25.9%であるため、株式保有特定会社としての課税処分を受けたが、その相続人はそれを不服として提訴を行った。

結果は、納税者側の勝訴で、株式保有特定会社の株式の価額を原則として純資産価額方式により評価すること自体は合理的であるが、株式保有特定会社に係る平成2年の通達改正時から状況が大きく変化していることなどから、株式保有割合25%という数値が合理性を有していたものとはいえない、と判断された(平成25年2月28日高裁判決)。

大会社の「特定会社外し」、ハードル下がる

上記の裁判の結果を受け、国税庁は大会社の株式保有特定会社の判定基準について、株式保有割合を「25%以上」から「50%以上」とする改正を行った。この改正は、平成25年5月27日以後に相続、遺贈又は贈与により取得した財産を評価する場合に適用されるほか、平成25年5月27日以後に相続税等の申告をする者が、平成25年5月27日前に相続等により取得した財産を評価する場合にも適用することができる。

この改正は、大会社の自社株対策に大きく影響する。大会社では、一般的に純資産価額よりも類似業種比準価額の方が低い場合が多い。その場合、株式保有特定会社にならないための、いわゆる「特定会社外し」が自社株対策の項目の1つとして挙げられる。今後は株式保有割合が50%を切れば、特定会社から外れるため、対策は行いやすくなったと言えるだろう。なお、中会社や小会社の判定基準は「50%以上」のままで、改正は行われていない。

税務ニュース№332


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