事業年度変更の活用法

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


節税対策として使えるケース

個人事業者の場合、事業年度は暦年(1/1~12/31)と決まっているが、法人の場合、事業年度は自由に決めることができる。事業年度は法人設立のときに定款に記載することにより決定するが、その後においても定款変更を行うことにより、事業年度を変更することが可能である。この事業年度変更は、法人にとって有利な選択肢として使えるときがある。

例えば、事業年度の早い段階で突発的な利益が計上されたり、又は当期の利益がかなり上ぶれすることが予想されるような場合、このままでは多額の納税をしなければならない。役員報酬を上げようとしても、平成18年度税制改正で定期同額給与が基本となったため、期中での変更は原則できない。このようなときに、事業年度変更が有効な場合がある。事業年度を変更することで1年未満の決算とすることができ、納税額を抑えられる。また、事業年度が変わることで、来期は役員報酬を変更することが可能となる。

消費税対策として使えるケース

また、消費税対策として事業年度変更が使えることもある。消費税には、原則課税と簡易課税の2種類の計算方法があり、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の場合には、いずれか有利な方を選択することができる。ただし、その選択は事業年度開始時までに、前もって行う必要がある(設立事業年度を除く)。万一、その選択を失念してしまった場合には、1年間は不利な計算方法での申告を強いられることになる。このような場合に、事業年度変更を行い、消費税の届出を提出することで、不利な計算方法での申告期間を短縮することができる。

事業年度変更に登記は不要

事業年度を決定するための要素は、他にもある。繁忙期に重なると決算作業が大変なため、時期としてはできるだけ避けなければならない。また、納税は決算月の2ヶ月後となるため、そのときの資金繰りも重要となる。季節変動のある業種の場合、資金繰りが厳しい月が納税月と重ならないような配慮も必要である。最終的には、そのような要素を総合的に判断して、事業年度を決定しなければならない。

なお、事業年度変更の手続きは、株主総会で定款変更の決議を行い、税務署等に異動届を提出することで完了する。

税務ニュース№272


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