平成24年から、金地金等の譲渡対価の支払調書制度が創設

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


創設の経緯

現在、金地金等を売買した場合は、金額に関わらず、金地金等の売買を取り扱う業者(貴金属商、古物商など)から税務署への報告義務はない。そのため税務調査において、金・白金の譲渡所得の申告漏れが多数杷握されている。政府税制調査会によると、総合譲渡所得に係る申告漏れ所得金額500万円以上の事案(328件)のうち、金地金等の申告漏れ件数が131件と約40%を占めており、1件当たりの申告漏れ金額も金地金等のみの申告漏れが約1,400万円にのぼっているとされている。

このような状況を踏まえ、金地金、白金地金の譲渡による所得を税務当局が把握できる制度を整備する観点から、平成23年度税制改正において金地金等の譲渡対価の支払調書制度が創設された。

新制度の概要

居住者または国内に恒久的施設を有する非居住者に対し、国内において金地金等(金地金または白金地金、金貨および白金貨を含む)の譲渡の対価の支払をする者(金地金等の売買を業として行う者に限る)は、その支払金額等を記載した支払調書を、その支払の確定した日の属する翌月末日までに、その支払をする者の所在地の所轄税務署長に提出しなければならない。なお、同一人に対するその金地金等の譲渡対価の支払金額が200万円以下である場合には、支払調書の提出は必要ない。この改正は、平成24年1月1日以後に行われる金地金等の譲渡について適用される。

金地金等を売ったときの税金の取扱い

サラリーマンなどが持っている金地金等を売却した場合の所得は、原則譲渡所得として課税され、給料などの他の所得と合わせて総合課税の対象となる(個人が営利を目的として継続的に金地金等の売買をしている場合の所得は、譲渡所得とはならず、その実態により事業所得または雑所得として総合課税の対象となる)。

譲渡所得の計算方法は、所有期間が5年を超えるかどうかにより異なる。

(1)所有期間5年
・超譲渡益=売却価額-(取得価額+売却費用)
・課税される譲渡所得の金額={(金地金等の譲渡益+その年の金地金等以外の総合課税の譲渡益)-譲渡所得の特別控除50万円}×1/2

(2)所有期間5年以内
・譲渡益=売却価額-(取得価額+売却費用)
・課税される譲渡所得の金額=(金地金等の譲渡益+その年の金地金等以外の総合課税の譲渡益)-譲渡所得の特別控除50万円

なお、(1)と(2)の両方の譲渡益がある場合には、(2)の譲渡益から先に控除するので、注意していただきたい。

金価格は世界的に高騰しているため、古くから所有しているものを売却した場合には、売却益が出る可能性が高い。また、取得価額が不明な場合には、売却価額の5%を取得価額とみなすことになるので、書類の保管を行うことが重要である。

税務ニュース№241


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