法人設立は年内に~消費税改正を見越して

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


現在の消費税免税点制度

平成23年度税制改正の一部が6/22に可決・成立し、6/30に施行されている。この中で、中小企業に大きな影響を及ぼしそうな項目が、消費税の免税点制度についての改正である。今回は、この改正内容と法人設立への影響について解説する。

消費税の納税義務は、基準期間の課税売上高によって決まる仕組みになっている。基準期間というのは、原則、個人事業者の場合は前々年、法人の場合は前々事業年度のことで、この基準期間の課税売上高が1,000万円を超えていれば、当期は課税事業者となる。

ただし、開業後又は設立後2年間は、基準期間が存在しないため、原則免税事業者になる。この場合、無条件に消費税が免税になるかというと、そうではない。設立直後から一定の規模で経営している場合にまで、2年間の免税制度を適用することは適当ではない。そのため、資本金1,000万円以上の新設法人については、設立1期目から消費税の課税事業者となる。これが現行の消費税の仕組みである。

改正後の消費税の仕組み

それが、今回の改正で大きく変わることになる。具体的には、上記の免税点制度の要件を満たしていても、下記に該当する場合には、課税事業者に該当することとなる。

(1)個人事業者のその年又は法人のその事業年度の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である場合において、当該個人事業者又は法人(課税事業者を選択しているものを除く。)のうち、当該個人事業者のその年又は法人のその事業年度に係る次に掲げる期間(以下「特定期間」という。)における課税売上高が1,000万円を超えるときは、当該個人事業者のその年又は法人のその事業年度については、事業者免税点制度を適用しない。

①個人事業者のその年の前年1月1日から6月30日までの期間

②その事業年度の前事業年度(7月以下であるものその他一定のもの(③において「短期事業年度」という。)を除く。)がある法人の当該前事業年度開始の日以後6月の期間

③その事業年度の前事業年度が短期事業年度である法人のその事業年度の前々事業年度(その事業年度の基準期間に含まれるものその他一定のものを除く。)開始の日以後6月の期間(当該前々事業年度が6月以下の場合には、当該前々事業年度開始の日からその終了までの期間)

(2)(1)を適用する場合においては、個人事業者又は法人が特定期間中に支払った所得税法に規定する支払明細書に記載すべき給与等の金額に相当するものの合計額をもって、(1)の特定期間における課税売上高とすることができる。

法人設立は年内がおすすめ

おおまかには、前年又は前期の前半6ヶ月の課税売上高が1,000万超の場合には、当年又は当期が課税事業者となる(ただし、同期間の給与支払高を課税売上高とすることも可能)。この改正は、平成25年1月1日以降に開始する個人事業者のその年又は法人のその事業年度から適用される。

今後、法人設立を検討されている場合、この改正は大きく影響してくる。今回の改正の適用が予想される場合には、「今年中に設立した方が消費税の節税」となる。というのも、1期目から事業年度が1年となる法人を前提にした場合、今年中に法人設立すれば、2期目は改正前事業年度となるため、設立以後2年間の消費税免税を利用することができるからである。

税務ニュース№234


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