決算終了後3ヶ月以内に役員給与を変更すること

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


役員給与の決定は決算終了後3ヶ月以内が原則

翌期の役員給与を決定するには、翌期の事業計画を立てることが先決である。3月決算法人なら、3月中に翌期の事業計画ができているのが理想であるが、中小企業の場合には、なかなかそうはいかないこともある。決算が確定(一般的に5月中)してから、税理士と翌期の見通しを行ったうえで、役員給与の額を決めるところもあるようだ。役員給与の額は株主総会あるいは取締役会で決議するため、その決議のあった日以降でなければ、原則増額あるいは減額することはできない。以前は期首に遡及して増額あるいは減額決定することも可能であったが、現在はできないので注意していただきたい。

なお、役員給与は、①定期同額給与、②事前確定届出給与、③利益連動給与の3つに限り、費用とすることができる。そのなかでも中小企業については、毎月同額を支給する①定期同額給与がメジャーである。

ちなみに定期同額給与とは、事業年度開始日から3か月経過日までに改定がされた場合において、改定前の支給額が同額で改定以後の支給額が同額である定期給与のことである。

法人税か所得税か、どちらが得?

同族会社に多いオーナー企業の場合、法人で納める税金と個人で納める税金のトータルで節税を考えることが重要になる。

例えば、資本金3,000千円、従業員50人以下で大阪に本社がある会社の法人所得が10,000千円とした場合。現行税率(平成23年度税制改正を考慮しない)において、法人税+法人事業税+法人住民税の合計は約3,140千円となる(法人事業税の損金算入効果は考慮しない)。

これに対し、役員1名に5,000千円の給与の支給があった場合で計算してみる。役員給与5,000千円に対し、社会保険料と合わせて所得控除が1,000千円と仮定した場合、所得税及び住民税の合計額は約400千円となる。会社の法人所得10,000千円から役員1人に5,000千円を支給したため、法人所得は5,000千円となり、これに対する税額は約1,394千円となる。個人の税金400千円+会社の税金1,394千円の合計で1,794千円となり、法人所得10,000千円に対する税金3,140千円から1,346千円も少なくすることができる。当然のことではあるが、役員という仕事の対価として支給する役員給与でない場合は、費用とすることはできないので、ご注意願いたい。

役員給与と内部留保の関係

具体例からもお判りいただけるように、税金面で役員給与をいくらにするかは重要問題である。

さらに税金だけでなく、役員給与の額は経営者のスタンスや会社の規模なども考慮して決定することになる。家族経営型の会社の場合、会社と個人のトータルでいかに税金を少なくするかがポイントになるケースもあるだろう。また、会社設立当初であれば、役員給与の額を減らしても会社の内部留保を厚くすることがポイントになるケースもある。あるいは、会社がある程度の規模に成長し、さらなるステップを目指すのであれば、対外的にも会社の内部留保を厚くすることがポイントになるかもしれない。

内部留保は税引き後利益の蓄積であるため、特に中小企業においては役員給与の増減による影響が大きい。

税務ニュース№219


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