上場株式等の譲渡、配当の申告はここに注意!

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


平成22年からの変更点

例年、確定申告時期になると、上場株式等の譲渡所得や配当所得の申告に関する質問が多い。今回は改正点や申告に関する注意点等をご紹介する。

平成21年分確定申告から、上場株式等の譲渡損失と配当所得の損益通算が認められるようになった。さらに、今回の平成22年分確定申告においては、源泉徴収を選択した特定口座に上場株式等の配当等を受け入れた場合には、特定口座内で譲渡損失と配当所得の損益通算が行われるようになった。

上場株式等の配当所得には3つの課税制度

上場株式等の配当所得には、総合課税、申告分離課税、申告不要の3種類の課税方式がある。総合課税を選択した場合には、他の所得と合算され、累進税率で課税される代わりに、配当控除を受けることができる。申告分離課税を選択した場合には、所得税7%・住民税3%の税率で課税されるが、上場株式等に係る譲渡損失と損益通算することができる。

上記2つは確定申告をすることが前提となるが、上場株式等の配当所得の場合には申告不要を選択することもできる。上場株式等の配当等の場合、原則所得税7%・住民税3%の源泉徴収がされており、確定申告をしなくても課税関係は成立しているためである。

これらの3つの制度の中から、最も有利なものを選択することとなる。一般的には、上場株式等の譲渡損失が発生しており、特定口座内での損益通算特例を受けていない場合には申告分離課税、所得が少なく、配当控除を受けた方が有利な場合には総合課税、それ以外の場合には申告不要、というように使い分けることになろう。

源泉徴収ありの特定口座でも、確定申告が有利になる場合

上場株式等の譲渡所得がある場合、源泉徴収ありの特定口座を選択している場合には、原則として確定申告は不要である。ただし、上記の場合でも確定申告した方が有利になる場合がある。上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の適用を受ける場合には、確定申告をすることが前提となる。また、上場株式等の配当所得との損益通算を選択する場合にも、原則確定申告が必要となる(特定口座内で損益通算されている場合を除く)。

特定口座が2つ以上ある場合や、他に一般口座での取引がある場合で、譲渡損失と譲渡益との損益通算をしたい場合等にも、確定申告の必要がある。

譲渡損失の申告には注意点も

上記のようなケースで確定申告する場合に、注意すべきことがある。確定申告をした場合には、その譲渡所得の金額(譲渡損失の繰越控除の適用を受けている場合には、その適用前の金額)が合計所得金額に含まれるため、配偶者控除や扶養控除の対象から外れることがある。

また、特定口座内で譲渡損失と配当所得が損益通算されている場合に、その譲渡損失を他の譲渡所得や配当所得と損益通算するために確定申告するときは、その配当所得について申告不要制度を選択することはできない。

税務ニュース№214


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