更正の請求期間が1年から5年に延長

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


更正の請求

「更正の請求」とは、確定申告を行ったが、法定申告期限後に計算違いなど、納める税金が多過ぎた場合や還付される税金が少な過ぎた場合に行う手続きのことである。この手続きは、誤りの内容を記載した更正の請求書を税務署長に提出することにより行う。

更正の請求ができる期間は原則として法定申告期限から1年以内である。更正の請求書が提出されると、税務署ではその内容を検討して、納め過ぎの税金がある等と認められた場合には、減額更正(更正の請求をした人にその内容が通知される)をして税金を還付する。

更正の請求期間が延長

納税者が申告税額の減額を求めることができる「更正の請求」については、法定申告期限から1年しかできない。現行は、それ以前の分については、個別に税務署に嘆願することによる。

そこで、平成23年度税制改正大綱において、更正の請求期間が延長されることになった。法定外の手続きにより非公式に課税庁に対して税額の減額変更を求める「嘆願」という実務慣行を解消するとともに、納税者の救済と課税の適正化とのバランス、制度の簡素化を図る観点から、更正の請求を行うことができる期間を現行の1年から5年に延長する。併せて、課税庁が増額更正できる期間を現行の3年から5年に延長する。

これにより、基本的に納税者による修正申告・更正の請求・課税庁による増額更正・減額更正の期間が全て一致することになる。

ただし、贈与税及び移転価格税制に係る法人税に係る更正の請求期間(現行1年)については6年に、法人税の純損失等の金額に係る更正の請求期間(現行1年)については9年に延長する。

これらの改正は、平成23年4月1日以後に法定申告期限等が到来する国税について適用する。また、今般の改正趣旨を踏まえ、過年度分についても、運用上、増額更正の期間と合わせて、納税者からの請求を受けて減額更正を実施するよう努めると記載されている。

顧問税理士がいる納税者の場合は、更正の請求期間が過ぎてしまっていても、嘆願という方法で減額を求めることが比較的容易であったが、顧問税理士がいない納税者の場合、嘆願という方法を知らないままで済ませてきたケースも多いであろう。そういう意味で、納税者にプラスとなる部分が多い改正であるといえる。

更正の請求の範囲の拡大

申告時に選択した場合に限り適用可能な「当初申告要件が設けられている措置」については、事後的な適用を認めても問題がないもの(所得税額控除、配偶者に対する相続税額の軽減など)も含まれていることを踏まえ、更正の請求を認める範囲を拡大する。

また、当初申告の際に記載された金額に限定される「控除額の制限がある措置」についても、更正の請求により、適正に計算された正当額まで当初申告時の控除額を増額させることにする。

*今回の内容は、国会を通過するまで正式な決定事項ではありません。今後の国会審議動向により内容が変更することがあります。

税務ニュース№209


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