金融円滑化法のポイント

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


金融円滑化法、強制力はなし

亀井金融・郵政担当大臣が打ち出した金融円滑化法(正式名称は「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律)が12/3に公布され、12/4から施行された。中小企業へのアンケートによれば、実際にこの制度を利用しようと考えている中小企業は少ないようだが、いざというときのために制度の概要だけは把握しておきたい。そこで、今回は簡単に金融円滑化法の内容をまとめてみる。

まずおおまかには、この法律は中小企業者と住宅資金借入者を対象に、金融機関からの借入についての条件変更を行いやすくするための臨時措置である。当初は「モラトリアム法案」として騒がれ、経過は紆余曲折したが、最終的には条件変更に対しての強制力はなく、あくまで金融機関の努力義務とされている。

法律は平成23年3月31日までの時限措置とされているが、それまでに行われた条件変更については、その後も効力を生ずるとしている。

一定の中小企業者と住宅資金借入者が対象

対象となるのは、一定の中小企業者と住宅資金借入者となる。中小企業者については、資本金又は出資金の額が3億円(小売・サービス業は5,000万円、卸売業は1億円)以下の会社並びに常時使用する従業員数が300人(小売業は50人、卸売・サービス業は100人)以下の会社及び個人で一定の事業を行うものとなっている。尚、信用協同組合等、金融機関の子会社、銀行の親会社、大会社、大会社の子会社等は対象外となる。

条件変更の内容については具体的に言及されてはいないが、金融機関は債務者からの申し込みがあれば、借換、DES(デット・エクイティ・スワップ)を含めて対応するよう努めることとされている。ただしあくまで努力義務規定であるため、条件変更等を実行するかどうかの最終的な判断は、各金融機関の責任において行われる。

条件変更対応保証制度の新設

また、この金融円滑化法に関して、「条件変更対応保証制度」という新たな信用保証制度が設けられることとなった。こちらは12/15から開始される。具体的には、条件変更に際して信用保証協会が融資額の40%を保証してくれる制度で、保証料は2.2%、保証期間は延長含め最長3年とされている。

注意点としては、この保証制度を利用するためには、申込時点において日本政策金融公庫や商工中金からの融資を受けておらず、かつ信用保証協会も利用していないという条件を原則満たしている必要がある。ただし、これらの融資が一時的なものや少額である場合には認められる場合もあるようだ。

新規融資の可否は

金融円滑化法が中小企業に対してあまり好評でない理由として、この制度を利用すると新規融資が受けられなくなる、という心配が中小企業側にあると思われる。この点に関しては、金融円滑化法に基づく金融監督指針において、「貸付けの条件の変更等の履歴があることのみをもって、新規融資や貸付けの条件の変更等の申込みを謝絶していないか」という着眼点が示されていることをご紹介しておく。

税務ニュース№154


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