ミスが多い!雇用調整助成金の収入計上時期

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


雇用を維持するために

昨秋のアメリカ発の金融危機は、いまだ日本経済に大きく影を落としている。特に中小企業においては、大幅な売上減少が止まらない状況である。そのような売上が減少するなかで雇用を維持していくことが非常に困難となり、解雇による失業者が増加することを恐れ、「雇用調整助成金」や中小企業については「中小企業緊急雇用安定助成金」などの人件費に対する助成金が設けられている。これらの助成金を受けて雇用を維持できている会社も少なくない。

そこで、今回は「雇用調整助成金」などの収入計上時期について説明する。

収入計上時期は法人税基本通達に記載

助成金はいつ収入計上すればいいのか?これについては、法人税基本通達2-1-42に記載されている。

<法人税基本通達2-1-42>
法人の支出する休業手当、賃金、職業訓練費等の経費を補てんするために雇用保険法、雇用対策法、障害者の雇用の促進等に関する法律等の法令の規定等に基づき交付を受ける給付金等については、その給付の原因となった休業、就業、職業訓練等の事実があった日の属する事業年度終了の日においてその交付を受けるべき金額が具体的に確定していない場合であっても、その金額を見積り、当該事業年度の益金の額に算入するものとする。

(注) 法人が定年の延長、高齢者及び身体障害者の雇用等の雇用の改善を図ったこと等によりこれらの法令の規定等に基づき交付を受ける奨励金等の額については、その支給決定があった日の属する事業年度の益金の額に算入する。

この通達から、雇用調整助成金や中小企業緊急雇用安定助成金については、実際に入金があった日や公共職業安定所から支給決定通知書が届いた日に収入を計上するのではないことがわかる。この助成金の支給となる原因があった日に収入を計上することになるのだ。

実務上の会計処理

具体的に会社はどのように会計処理していけばいいのか?おそらく助成金が入金された日に「現金預金/雑収入」としている会社が多いだろうが、一事業年度において申請から入金まである場合はこの入金日を収入計上としても問題になることはない。しかし、途中に決算をまたぐ場合は問題となる。助成金の金額が確定していない場合でも、見積もり額を「未収入金/雑収入」として計上しなければならない。もし、未収入金として計上していない場合にはもちろん修正申告の対象となり、収入漏れのため過少申告加算税や延滞税等が課税される。

また、助成金の申請については税理士ではなく社労士に依頼されたり、ご自身でされる会社も多い。この場合において現金基準で助成金の収入時期を計上している会社であれば、税理士に助成金の申請をしている旨を必ず伝え、決算時に収入漏れがないようにされたい。

税務ニュース№153


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