利益が減った場合の税務の注意点

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


予定申告と中間申告、どちらが有利か

昨年9月のリーマンショックから1年が経過し、景気は底を打った等の報道も見受けられるが、依然失業率は高止まり、中小企業も厳しい状況が続いている。そんな中、3月決算の会社は9月末でちょうど中間決算となるが、前期決算より業績が落ちているという会社も多いだろう。今回は業績が落ちている場合の税務上の注意点についてまとめてみたい。

前期決算で利益を出し、一定額以上の法人税等を支払っている会社は、中間決算から2ヶ月以内に前期決算で支払った法人税等の1/2を支払わなければならない。これが予定納税である。予定納税はあくまで仮払的な性格のものなので、確定決算を行った時に年税額が予定納税額より少なければ、予定納税で支払った法人税等が還付されることになる。ただし業績が落ちている場合、還付されるとはいえ、金額次第では予定納税の負担が重いこともある。

こんなときに検討したいのが、「仮決算による中間申告」である。事業年度開始後6ヶ月を経過した時点で仮決算を行い、その実績に基づいて申告納税するのが仮決算による中間申告である。予定納税と中間申告による納税の差があまりにも大きい場合には、中間申告を検討する余地がある。中間申告は、法人税と消費税で別々に採用することができる。一般的には法人税は業績悪化の影響を受けやすいが、消費税は影響を受けにくい。このようの場合には、法人税のみ仮決算による中間申告を行い、消費税を予定納税にする、という選択肢もある。

ただし仮決算とはいえ、中間申告をするには確定決算とほぼ同じ作業が必要であり、また作業を会計事務所に依頼する場合にはそのコストも必要である。そのあたりを考慮した上で、総合的に判断して頂きたい。

繰戻還付と調査の関係

前期決算が黒字の会社が、業績悪化により当期決算が赤字となった場合、その会社が資本金1億円以下の中小企業等であれば、欠損金の繰戻還付を利用することができる。簡単に言えば、当期の赤字と前期の黒字を相殺し、前期に支払った税金を還付してもらう手続きである。従来は適用が制限されていた規定であるが、平成21年2月1日以後終了事業年度より、資本金1億円以下の中小企業等に全面解禁された。

繰戻還付は、税務署長が調査の上還付する、という規定になっているため、その調査の有無を気にかける方もいらっしゃるかもしれないが、ここでいう調査とは何も実地調査のみを指すわけではない。税務署内で行われる机上調査も含まれるため、必ずしも実地調査が行われるとは限らない。

10人未満なら、納期の特例に変更可

また業績悪化によるリストラ等で従業員を減らした場合、従業員が10人未満になれば源泉所得税の納付を原則の毎月納付から半年に1回の特例納付に切り替えることができる。特例納付の場合、当面の資金繰りは楽になっても支払時の金額は多額になるため、どちらが有利かは一概には言えないが、該当する場合には検討の余地がある。

税務ニュース№144


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