FXに関する税金の仕組み

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


大証FXが開設

最近、またFX(外国為替証拠金取引)関連のニュースをよく見かけるようになった。現在、賛否両論で議論が巻き起こっているのが、FXのレバレッジ(倍率)の見直しについてである。

FXは、取引業者に預けた証拠金の一定倍率まで取引ができる仕組みになっており、その倍率は各業者によって決められている。中には数百倍という倍率で取引できる業者もあるため、昨年のリーマンショック以降、大きな損失を被る投資家が増え、金融庁が倍率規制に乗り出している。金融庁は、最終的に25倍までに倍率を規制する案を検討している。

その一方で、7/21から大阪証券取引所がFX市場(大証FX)を開設した。現在、取引所によるFX市場には、東京証券取引所が開設している「くりっく365」があるが、それに続いて2つ目となる。

店頭取引は原則雑所得課税

FXはここ数年で大きく伸びてきた分野であったため、その税金面をあまり理解していない投資家もおり、国税庁も重点的に税務調査を行ってきた。先日、国税庁より発表された「平成20年度査察(マルサ)の概要」では、所得税の脱税額は大きく減っていたが、平成18~19年には所得税で多くの脱税事案があり、その中にFXによる脱税も含まれていたことは、報道等もされた通りである。

そこで、FXの税金の仕組みを簡単にまとめておきたい。

FXには店頭取引と取引所取引があるが、この2つのどちらであるかにより、課税体系は異なることとなる。

まず、店頭取引である場合には、原則雑所得として課税される。雑所得として課税されるということは、他の所得と合算されて総合課税されるということである。合算された所得に対して超過累進税率により課税されるため、FX以外に多額の所得がある投資家は、かなりの高率で課税されることもありうる。

ただし、上記はFXで利益が出た前提での話である。もし、FXで損失が出れば、そもそも税金は発生しないし、あわよくば他の所得と損失を相殺できるのでは、と思われるかもしれないが、残念ながらこの場合、雑所得の中でしか損益通算は認められない。他に雑所得がなければ、その損失は切り捨てとなってしまう。後述する取引所取引のFXによる利益とも相殺できない。

取引所取引は優遇措置あり

一方、取引所取引(くりっく365、大証FX)の場合には、店頭取引と比べて税制面で2つの優遇措置が設けられている。

まず、1つ目の優遇措置は税率である。取引所取引によるFXは、「先物取引に係る雑所得等」に区分され、他の所得と合算されることなく、20%の税率(所得税15%、住民税5%)で課税される。どれだけ利益が出ても、この税率が変わることはない。

2つ目は、損失の取扱いである。取引所取引の場合にも「先物取引に係る雑所得等」の中でしか損益通算はできないが、そこで損益通算しきれなかった金額は、翌年以後3年間その損失を繰り越すことができる。ただし、この繰越控除の適用を受けるためには、損失が出た年の確定申告に一定の書類を添付し、その翌年以後も連続して確定申告書を提出しなければならない。

税務ニュース№134


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