平成21年度、上場株式等の譲渡損失と配当等の損益通算

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


上場株式等の配当等の税率10%を維持

居住者または国内に恒久的施設を有する非居住者(以下「居住者等」という)が支払を受ける上場株式等の配当等(大口株主等が支払を受けるものを除く。以下、同じ)に係る源泉徴収税率は10%(所得税7%+住民税3%)と記憶されている方も多いだろう。しかし、原則的には源泉徴収税率20%(所得税15%+住民税5%)が適用される。

ただし、平成20年及び21年度税制改正により、特例措置が延長となり、居住者等が平成21年1月1日から平成23年12月31日までの間に支払を受ける上場株式等の配当等については、源泉徴収税率10%(国税7%+住民税3%)が引き続き適用される。

上場株式等の配当等につき申告分離制度が創設

居住者等が平成21年1月1日以後に支払を受ける上場株式等に係る配当所得について、総合課税のほかに、申告分離課税を選択できるようになった。こちらの税率についても、平成21年1月1日から平成23年12月31日までについては10%(所得税7%+住民税3%)とし、平成24年分以降については20%(所得税15%+住民税5%)が適用される。

ここでの注意点は2つある。1つは、この申告分離の選択は、申告する全ての上場株式等の配当等に係る配当所得の全額についてしなければばらないこと、もう1つは、申告分離課税を選択した配当等については、配当控除の適用はないということである。

上場株式等に係る譲渡損失と配当等の損益通算制度の創設

申告分離課税制度が創設されたことにより、上場株式等に係る譲渡損失と配当等を損益通算できる制度が創設された。

平成21分以後の各年分について、上場株式等を証券会社等を通じて売却したことにより生じた譲渡損失の金額は、確定申告により、その年分の上場株式等に係る配当等の金額(申告分離課税を選択したものに限る)と損益通算できることになる。また、損益通算してもなお控除しきれない譲渡損失の金額については、翌年以後3年間にわたり、確定申告により株式等に係る譲渡の金額や配当等の金額から繰越控除することができるのだ。

<譲渡損失が生じた年>
譲渡損失200万円 配当等10万円
損益通算200万円-10万円=190万円の損失繰越

<翌年>
譲渡益40万円 配当等20万円
損益通算190万円-40万円-20万円=130万円の損失繰越

<翌々年>
譲渡益50万円 配当等30万円
損益通算130万円-50万円-30万円=50万円の損失繰越

<翌々々年>
譲渡益40万円 配当等30万円
損益通算50万円-40万円-30万円=△20万円 課税対象は20万円となる

何を選択できるのか?

では、居住者等が上場株式等の配当等の支払を受けた場合、どんな選択方法があるのだろうか。

まず「確定申告しない申告不要」と「確定申告する」とのいずれかを選択することができる。そして、「確定申告する」を選択した場合には、「総合課税」か「申告分離課税」かを選択することができる。「総合課税」を選択した場合には、従前からある配当控除を適用することになる。一方、「申告分離課税」を選択した場合には、上場株式等に係る譲渡損失との損益通算が可能となるが、配当控除の適用はない。

税務ニュース№131


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