どうなる?!来年度税制改正の行方

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


法人税率、中小企業のみ引き下げ?

いよいよ12月に入り、今年も残すところ後わずかとなってきた。この時期に話題になるのが税制改正である。例年通りであれば、今月中旬には自民党から来年度の税制改正大綱が発表される。今回は、既に発表されているものも含めて、来年度税制改正の動向についてご紹介していく。

政府はこの金融危機に対応するため、既に緊急経済対策を発表しており、その中に来年度税制改正において実行される予定の改正事項がいくつか含まれている。

1つは、中小企業に対する軽減税率の引き下げである。現在、法人税の税率は原則30%となっている。ただし、資本金1億円以下の中小企業に対しては、所得800万円以下の部分に対してのみ22%の軽減税率の適用を認めている。政府は先日の経済対策において、この軽減税率を時限的に引き下げる、としている。

具体的にどれだけ引き下げられるのかはこれからの議論次第で、現段階では分からない。また、時限的引き下げとされているため、実施期間は恐らく数年程度になるものと予想される。

欠損金の繰戻還付も解禁か

もう1つは、中小企業に対する欠損金の繰戻還付の実施である。現在の税法では、欠損金の取扱いについて、2種類の制度が規定されている。1つは欠損金の繰越し、もう1つは欠損金の繰戻還付である。

欠損金の繰越しについては、青色欠損金であるなどの一定の要件を満たせば、最大7年間、その欠損金を繰り越すことができることになっている。

一方、欠損金の繰戻還付については、現在、設立5年未満の中小企業者等の一定の場合にのみ、当期の欠損金を前期の所得と相殺し、既に支払った法人税の還付を受けることができるが、その他の法人については適用停止となっている。これを先日の経済対策では、一定の中小企業に適用を拡大して、欠損金の繰戻還付を認めることとしている。

ただ、こちらについても、経済対策に盛り込まれているだけなので、詳細については大綱の発表を待たなければならない。

住宅ローン控除、住民税にまで拡大?

同様に、経済対策において実施が予定されているのが、住宅ローン控除の拡大である。住宅ローン控除は、ここ数年縮小の傾向にある。今年入居された方が住宅ローン控除の適用を受ける場合、控除期間(10年か15年を選択)中に最大160万円の所得税が控除されるが、この控除限度額は年々少なくなってきている。

今回、その控除限度額を大幅に増やすことが予定されている。合わせて、住宅ローン控除は本来、所得税にのみ適用される制度だが、それを住民税にまで拡大して適用するかどうかについても、自民党の税制調査会で検討されているようである。

相続税の大幅改正は見送りか

また、来年度税制改正においては、相続税を遺産取得課税方式に改める抜本的改正が予定されている。これは平成20年度税制改正大綱からの既定路線で、現在も検討が続けられているようだが、急激な経済情勢の変化により、ここにきて改正の先送りという雰囲気も漂いつつある。これについては恐らく、税制改正大綱が発表される土壇場まで調整が続けられるものと思われる。

税務ニュース№104


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