節税対策集99 2006.8.4
DESという魔術
▼私がクライアント先を回っていて…
私が中小企業のクライアント先を回っていて、以下のような言葉に出会いました。
「以前に会社の資金繰りが大変だったときに、元社長である父に融通してもらった借入金、返済できそうにないな・・・。」
「個人事業から会社組織にしたときに発生した社長借入金、これに相続税がかかるってホント?」
「銀行の担当者から、自己資本比率が低いので借入金利が上げさせてくれって、言われたんだけど、なんとかならない?」
これら3人のクライアントの悩みの原因は、社長借入金という存在です。
▼社長借入金という問題
個人の立場からすると、会社への貸付金となり帳簿価額全額が相続税の課税対象となります。
また銀行の立場からすると、負債である社長借入金が自己資本比率(注)を圧迫し、銀行格付の低下要因となり、結果、借入金利の上昇など融資条件が厳しくなります。
(注)自己資本比率=自己資本(純資産)/総資産で表されます。
社長借入金があれば必ずしも問題となるわけではありませんが、相続税が間近に迫っているなどの場合には、対策が必要となります。
▼解決策は、DES
それでは上記のように問題となる社長借入金を資本金に振り替える、つまり借入金の現物出資=DES(注)を実行してみてはいかがでしょうか。
「え?そんなことが出来るの?」という声が聞こえてきそうですが、実は今年5月に施行された「会社法」によって、DESは実行しやすくなりました。
具体的には、借入金を資本金に振り替えるため、借入金がなくなってその分増資(第三者割当増資)ということになります。
そのため、譲渡制限のある会社では株主総会の特別決議が必要であり、また登記も必要となります。
注意点としては、会社法施行に伴ってDESの場合にも時価で増資しないといけなくなったことです。
このためやり方によっては債務免除益課税や贈与税課税の恐れがあります。
また増資後資本金が1億円以上となると、国税局管轄になる等、他の問題も出てきます。
そのため、実行には税理士などの専門家のアドバイスのもとにお願いします。
(注)DES(デット・エクイティ・スワップ)=デット(社長借入金)とエクイティ(資本金)をスワップ(交換)するということです。
▼効果(メリット)
個人の立場からすると、貸付金という相続財産が、株式(資本金)という相続財産に置き換わったことになります。
相続税法上、貸付金であれば帳簿価額のままの評価ですが、株式となれば評価が下がることになります。
つまり、DESが相続税節税対策となっているのです。
また銀行の立場からすると、会社のバランスシート(貸借対照表)における負債が減少し資本が増加するため、自己資本比率が向上します。
結果、銀行の格付アップ、借入金利低下、融資条件緩和の可能性があります。
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