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みなさん、節税するかどうかは任意だと思いますか?
私は会社や従業員のことを考えると、正しく賢く節税することは経営者にとって義務と考えています。
しかし実際、節税義務を果たしていない会社をいくつもみてきました。本人は節税をしたいのでしょうが、税法を知らないがために払わなくていい税金を払っています。

そのような方々に少しでもお役に立てれば、と思い執筆しました。

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


節税対策集63 2005.8.17
税金を払わなくていいということ
〜あるベンチャー経営者の悲哀〜

▼あるベンチャー経営者の悲哀

今村税理士事務所は、ベンチャー専門の税理士事務所とうたっているので、よく起業したての方から相談を受ける。昨日来られた独身の35歳Aさんは、月100万円の売上(粗利60万円)に開業後半年で達成された。ファンシー系の小売業なのであるが、何も無いところから良くがんばられたと思う。

実際売上が100万円でも仕入原価を差し引いた粗利では60万円となるので、そこから、家賃や電話代、水道光熱費などを差し引くと手元に残るのは大体30万円ぐらいである。
つまり、30万円がこのAさんの給料みたいなものである。

土日も無く朝から晩まで14時間仕事して、30万円。決して多いとはいえないが、よくがんばられたと思う。ただし、この方は自営業なので(会社組織では無いので)、給料としてもらうわけではなく通帳に残ったお金を生活費として使うといったことになる。

そこで、なぜ税理士である私のところに相談に来られたのか?
それは、このまま売上が推移すると来年の確定申告のときにどれぐらい税金が発生するのか?を聞きたかったからである。
これから年末にかけて売上が上がっていくようであるので、単純に月30万円の利益が12ケ月と仮定すると、納税額は約50万円となる。(定率減税は考慮していない。)

▼税金を払わなくていいということ

月100万円の売上をやっと達成して、毎月30万円ずつ生活費をとれるようになったと思えば、その後に税金が50万円やって来る。
ちょっと驚きに感じるかもしれない。実際その方もかなりびっくりされていたようだ(ちなみにこの方の場合は、独身で控除できるものがほとんど無かったという背景もあるのだが)。

月々に直すと税金約4万となるので、生活費が「30万円から26万円に減少」ということになる。起業したての方は、ほぼ必ず最初にこの税金で悩まされることになる。

出来れば年中から、税金分を引いて儲けを考えていればいいのであるが、なかなかそうはいかないのが現実。税の専門家である私でも、30万円儲かったら30万円何に使おうかな、とまずは考えてしまうものである。

しかし世の中は広いものだ。
その税金を払わなくていい人たちがいるのである。
しかも、儲けに対する所得税や法人税だけではなく、契約書に貼る印紙税や不動産の所有にかかる固定資産税(固定資産税は現在では半額免除)なども払わなくていい人たちがいる。

▼日本郵政公社

それは、日本郵政公社(郵便、貯金、保険、窓口)である。
今ちょうど民営化するかどうかについて参議院で否決され衆議院解散総選挙という事態になっているアレである。

そこで、もし郵政公社が民営化されて普通に納税義務が発生すると、どれくらいの納税額になるのかを試算した記事があったので掲載する。

----------------------------日経新聞 2005.7.16------------------------------------------
郵政民営化会社、納税額4,900億円と予測・07年度に
竹中平蔵郵政民営化担当相は15日の参院郵政民営化特別委員会で、民営化会社が発足初年度の2007年度に国・地方に払う税について「総額4,900億円と見込まれている」との試算を明らかにした。
日本郵政公社は法人税などを納付しておらず、民営化は税収に寄与するとの認識を示した。今後の財政再建論議に影響しそうだ。
---------------------------------------------------------------------------------------

納税額4,900億円の内訳を見ていくと、儲けに対して課税する法人税・法人事業税などが3,100億円で、これは国内最大の納税者であるトヨタ自動車に匹敵する規模である。
さらには、消費税、固定資産税、印紙税などで1700億円となる。

日本郵政公社の特典は、税の免除だけではない(ただし、税の免除の代わりに別途国庫納付金制度がある)。

通常民間の金融機関であれば、破綻に備えて預金保険料というのを払う。同様に民間の生命保険会社であれば、生命保険契約者保護機構への負担金というのもある。これらの負担すべてが日本郵政公社には無いのである。

全国銀行業協会の試算によると、2003年度の郵政公社の特典は1兆1,100億円に及ぶとしている。
それに何より郵貯や簡保は、国が全額保証するといういわゆる「政府保証」という存在が何よりの特典かもしれない。ちなみに「政府保証」というのは、最終的に国民が税金という形でケツを拭くということであるので、悪しからず。

▼実際、15年で倍以上になった

1985年の郵便貯金残高は103兆円であったが、90年代の金融不安があった後の99年では260兆円にまで肥大化した。
つまり郵便貯金の残高は、約15年で倍以上になった。
しかも肥大化しているのは郵便貯金だけではない。簡易保険やその公務員の数も同様である。具体的に数字を使って説明する。

まず「郵便貯金」。
2004年3月末の残高が227兆円。これがどれくらい多いかというと、天下の東京三菱でも53兆円であり郵貯の約4分の1でしかない。それでは、日本の4大銀行である東京三菱と三井住友、みずほ、UFJをすべて足すとどれくらいかというと、225兆円である。

実はそれでも郵便貯金のほうが多いのである。多かったらなぜいけないのかは後ほど。

次には「簡易保険」。
簡易保険の総資産は121.9兆円である。日本生命45.2兆円、第一生命29.6兆円、明治安田生命25.3兆円、住友生命21.1兆円、合計で121.3兆円となり、これも郵政公社である簡易保険の勝ちとなる。

郵貯・簡保合わせた資金量は、日本の個人金融資産1400兆円の4分の1である350兆円となる。

そして次は「公務員」。
全国に約97万人いる国家公務員の内、日本郵政公社の職員はその約3割に当たる28万6000人である(2004年度末予算定員)。さらに非常勤の職員(身分は公務員)も、その他に約10万人いる。合計約40万人となるので、警察官でも24万人であるから結構な数である。

次回「自立自助の精神こそ、郵政民営化の本質」に続く

 

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