節税対策集43 2005.1.30
ストックオプションによる利益は給与所得!
〜遡及的な課税に疑問〜
最近新聞紙上をにぎわしている、ストックオプションによる利益の課税措置。納税者側は、当初の課税当局側の指導どおり「一時所得」との見解。
一方、課税当局側は、ほぼ税額が2倍になる「給与所得」との見解。
▼給与所得と最高裁判断
ストックオプションで得た利益が「一時所得」か「給与所得」に当たるかが争われた訴訟で、最高裁は1月25日、課税当局側の主張を認めて「給与所得」に当たるとする初判断をしました。
さらに過去の国税方針変更には一切触れませんでした。国税の方針変更とは、1997年以前では課税当局の指導が「一時所得」であったのに対して、商法改正を受けた1998年から方針を変更し、ストックオプションによる利益は、ほぼ2倍の税額になる「給与所得」と見解を統一したことに起因します。
これによりさかのぼって約2倍の税負担を強いられて、納税者の不満は今なお大きいものとなっています。
▼課税当局側・納税者側の主張
その会社で勤めているからこそストックオプションが付与されるはずという部分を強調して、「労務の対価」であるので偶発的な「一時所得」ではなく「給与所得」に当たると主張。
一方、納税者側の主張は、株価動向という偶発的要素がありいつ権利行使するかについては本人の判断である部分を強調して、「労務の対価」ではなく「一時所得」に当たるとしています。
▼ストックオプションとは?
ここで、ストックオプションについて。
ストックオプション制度とは、会社が取締役や従業員に対して、予め定められた価額である「権利行使価額」で会社の株式を取得することのできる権利を付与し、取締役や従業員は将来、株価が上昇した時点で権利行使を行い会社の株式を取得し売却することにより、株価上昇分の利益が得られるという制度。
利益額が企業の業績向上による株価の上昇と直接的に連動することから、権利を付与された取締役や従業員の株価に対する意識は高まり、業績向上へのインセンティブとなりモチベーションアップにつながる場合もあります。
ストックオプション制度は、平成9年5月の改正商法において導入され、平成14年4月施行の改正商法において「新株予約権の無償発行」として新たに整備されました。
▼さかのぼって課税に批判
今回の最高裁判決を受けて、原告のアメリカアプライド・マテリアルズ社の日本法人元社長である八幡恵介氏は、記者会見で、「給与所得か一時所得かの判断には従うが、国税が方針変更前にさかのぼって課税した不当さは認めて欲しかった」と発言しました。
また、「最高裁が行政を追認したことには承服できない」と不満の表情を浮かべました。
さらには、同じストックオプション課税をめぐる訴訟で上告中のアメリカインテル日本法人元会長の西岡郁夫氏も記者会見で、「(課税当局側が)指導が間違っていたと後から課税できるなら、納税者は将来の予測ができない」と指摘。
今後発生するストックオプションについて「給与所得」として申告するのは仕方が無いとしても、課税当局側が当初指導したとおりに「一時所得」で申告した分までさかのぼって課税するというのは、税の信頼をそこねるのではないかと思います。
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