節税対策集178 2008.10.10
誰よりも早く新設「経営承継円滑化法」を学ぶ 第3回
前回の「納税猶予制度の具体的な要件」はこちら。
▼概要
経営承継円滑化法は大きく3つの柱からできています。「非上場株式等に係る相続税の納税猶予」「遺留分に関する民法特例」「事業承継のための金融支援」の3つです。今回はこのうち、「遺留分に関する民法特例」についてお届けします。
▼遺留分に関する民法特例Q&A
Q:遺留分とは何ですか。
A:現在の民法では、自分の財産をどのように処分しようと個人の自由とされています。そのため、被相続人が遺言でどのように財産を分け与えようと、それは被相続人の自由です。極端な話、相続人以外の第三者に全財産を与える、という遺言を書いてもそれは有効になります。
ただし、生前の貢献度合等を考えると、相続人にはやはり最低限の相続財産をもらう権利を認めるべきだ、ということで定められている相続分が「遺留分」になります。遺留分を侵害された相続人は、遺留分減殺請求をすることにより、自分の遺留分に相当する財産を取り戻すことができます。
遺留分は、遺留分権利者全員で相続財産全体の1/2(ただし相続人が直系尊属のみの場合は1/3)と定められています。それに個々の法定相続分を掛けたものがそれぞれ個人の遺留分になります。尚、遺留分は兄弟姉妹には認められていません。
Q:なぜ遺留分の特例ができたのですか。
A:中小企業経営者の相続の場合、相続財産は自社株式がほとんどである場合が多く、事業承継を実施する際に後継者に自社株式を集中させようとすると、他の相続人の遺留分を侵害することになり、現実的には実行するのが難しいという実態があります。
また、遺留分を算定する基礎となる財産には、相続財産のほか、生前になされた贈与財産も含まれます。相続対策のため、生前に自社株式を後継者に贈与していても、それは遺留分減殺請求の対象となってしまいます。
その上、その自社株式の評価は贈与時ではなく、相続開始時の評価となります。そのため、後継者の努力で株価が上昇すればするほど、他の相続人からの遺留分減殺請求額が増えることになり、自分で自分の首を絞める結果となってしまいます。
遺留分の事前放棄という制度もあるにはありますが、これは遺留分を放棄する推定相続人が自分で手続きを行わなければならず、実際にはあまり普及していません。これらの弊害を解決するために、今回遺留分の特例が新設されました。
次回「遺留分に関する民法特例Q&A」などです。
(担当:村田)
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