節税対策集167 2008.6.18
役員退職金の活用の仕方〜基礎編〜
▼退職所得のメリットは3段階
今回から3回に渡って、役員退職金の基礎から具体的事例までを取り上げて解説していきたいと思います。今回は、まず解説する上で前提となる、退職金についての税金とその周辺知識をご紹介していきます。
まずは、退職金にかかる所得税からです。
退職金は、所得税の区分上、退職所得という区分に該当します。そして、この退職所得に対する課税は、現在非常に優遇されているのです。そのメリットは大きく3つあります。
まず、1つは「退職所得控除」です。
「退職所得控除」とは、所得税を計算する上で、その会社での勤続年数に応じて退職金から控除される金額のことで、以下のように計算されます。
1.勤続年数20年以下の場合
40万円×勤続年数(1年未満の場合は切上)
2.勤続年数20年超の場合
800万円+{70万円×(勤続年数−20年)}
この算式で計算してみると、勤続20年で800万円、30年で1,500万円、40年で2,200万円の退職所得控除があります。つまり、退職金がこの金額以下であれば所得税はかからないということです。
▼メリットはまだまだ続く
メリットの2つ目は、「1/2課税」です。退職所得は、退職所得控除を引いた後、そのまま税率を掛けるわけではなく、さらにその後課税所得を1/2にします。これにより、実質的に税率が半減します。
最後の3つ目のメリットは、「分離課税」です。
退職所得は、他の給与所得や事業所得などと合算されて課税されるわけではなく、退職所得のみで課税されます。日本の所得税は累進課税になっていますから、所得が増えれば増えるほど、税率は高くなります。つまり、他の所得とは分けて課税してくれるということは、それだけで税率が低くなる、ということなのです。
▼所得税だけではない
退職金にかかるのは所得税だけではありません。他の所得と同様に、住民税もかかってきます。住民税も、所得税と同様、分離課税になり、税率は道府県民税が3.6%、市町村民税が5.4%になります。もちろん、ここでも所得税と同様に、退職所得控除を引いて、さらに1/2した所得に対して税率を掛けることになります。
尚、平成18年までは「地方税法別表第一、第二」という税額早見表により計算していましたが、平成19年から現在の計算方法に変わっています。
▼相続税との関係
また、中小企業の役員退職金という視点で考える時には、相続税との関係も見逃せません。自社株の評価額が高く、相続財産が多額になるという場合、役員退職金という大きな経費を計上することで、株価が下がることもあるからです。所得税、住民税が優遇され、なおかつ相続税も下げられる、という最高の結果が期待できる場合もあるわけです。
(担当:村田)
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