節税対策集144 2007.11.1
証券優遇税制と事業承継税制の今後
▼どうなる今年の税制改正論議
10/25に自民党税制調査会が、来年度の税制改正に向けての論議をスタートさせました。改正の具体的項目もちらほら挙がり出していますが、何より今回の税制改正論議は例年になく異例の展開になりそうです。
というのも、衆議院では自民党、参議院では野党がそれぞれ過半数を握っているため、調整は一筋縄ではいきそうにありません。例年であれば、12月中旬に与党である自民党から税制改正大綱が発表され、それがほぼそのまま国会で可決され、施行されるという流れなのですが、今年は民主党も税制改正大綱を独自に発表する見込みです。両者のすり合わせがどうなるのか、全く分らない状況です。
▼延長か廃止か、証券優遇税制の行方
そんな中、来年度税制改正の目玉となるであろう証券優遇税制について、早くも意見の不一致が表面化し出しています。
証券優遇税制は、上場株式等について譲渡益は来年末まで、配当金は再来年の3月まで、それぞれ税率を10%に半減させる優遇措置です。証券優遇税制は、平成19年度税制改正において打ち切られるはずだったのですが、自民党の意向で1年間の延長となった経緯があります。
その1年間の延長の末、廃止するのかそれともさらに継続するのかが、来年度税制改正に委ねられているのです。
政府税制調査会は10/16の会合で、証券優遇税制を廃止する方向でまとまったようです。一方、自民党内には証券優遇税制の延長を望む声もあり、政府税制調査会とは意見が一致しません。それに加えて、参議院を握る民主党は証券優遇税制廃止の立場を取っています。いったいどうなるのやら、といった感じです。
政府税制調査会は、将来的には金融商品から生じる損益を一体化させて課税する「金融所得一体課税」への移行も考えているようですが、このままでは導入に相当な困難が予想されます。
▼事業承継税制の見直しは可能性あり?
一方、政府税制調査会、自民党、民主党の三者間で比較的方向性が一致していると思われるのが、事業承継税制拡大についてです。三者とも中小企業の事業承継における負担減を目指す、という点では今のところ、意見が一致しているように見えます。
現実的に改正の対象となりそうなのは、非上場同族株式を相続する際の評価減の特例で、現在の10%減を条件付きで80%減に改正する案が自民党内で出ているようです。条件としては、5〜7年間の事業継続、従業員数の80%以上の雇用継続、税務署への事業計画の提出(原則毎年)などの義務付けが考えられています。
平成19年度税制改正で、「特定同族会社株式等に係る相続時精算課税の特例」が新たに創設され、相続時精算課税を選択した際に一定の要件を満たせば、最大3,000万円まで非上場同族株式等の贈与をいったん無税で実行できることになりました。
ただ、相続時精算課税(相続財産に足し戻し)であるため、直接的な減税とはなりにくく、それに加えて小規模宅地等の特例や特定事業用資産の特例との併用ができないので、実務家の評判はあまり良くありません。そのため、非上場同族株式にも小規模宅地等と同じように80%の評価減特例の創設が期待されていますが、今のところ実現するかどうかはわかりません。
(担当:村田)
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