節税対策集141 2007.10.1
導入実現するか、「給付付き税額控除」
▼どうなる消費税増税?
政府税制調査会は、9/18の会合から個人所得課税の見直しのための議論を始めているようです。当初の予想では、この秋から消費税増税に向けての議論が本格化していくのではないか、と見られていましたが、参議院選挙、首相交代など状況が大きく変わってきたため、来年の税制改正の柱とするのが難しくなっているようです。
そんな状況の中、政府税制調査会の香西会長は18日会合後の記者会見で、所得税に「給付付き税額控除」の導入を検討する考えを表明しています。所得格差の広がりを是正し、低所得者に配慮した、社会保障制度も組み合わせた所得税制を議論していきたい、ということのようです。
▼所得控除と税額控除
この「給付付き税額控除」の内容を説明する前に、まず現在の所得税における控除制度を確認しておきましょう。
所得税における控除には、課税所得を減額する所得控除と、税額を直接控除する税額控除があります。税額控除では、「配当控除」、「住宅ローン控除」など他にもいくつかの税額控除制度がありますが、あまり誰もが一般的に適用できるものではありませんので、メインはやっぱり所得控除ということになります。
所得控除には、基礎控除や扶養控除、配偶者控除などの控除項目があり、多くの方がこの控除を受けていますが、実はこの所得控除は、所得の少ない方ではあまり恩恵が受けられない場合があるのです。
▼所得控除の不公平
というのも、この所得控除は所得から一定額を控除する仕組みとなっています。「一定額を控除する」と聞くと、不公平感はないように思えます。
しかし、所得が少なく、そもそも所得控除以下の所得しかなければ、余った所得控除は切り捨てとなってしまい、その部分の税額軽減のメリットは受けられません。低所得者ではあまり恩恵が受けられないというのはそのためです。
一方、ある程度の高所得者になれば、所得控除は全額受けることができ、その分の所得税軽減という恩恵をめいっぱい受けることができます。
▼日本では導入実績なし
そこで登場するのがこの「給付付き税額控除」です。仕組みはこのようになっています。
例えば、「給付付き税額控除」の限度額が15万円あるとします。所得税が15万円以上であれば、15万円の税額控除が受けられますので、納税すべき所得税は15万円少なくなります。
所得税が10万円しかない場合には、これまでの控除制度の考え方でいけば、10万円を控除し、残りの5万円は切捨てとなるところですが、この「給付付き税額控除」では、残りの5万円部分は現金で支給されます。極端な場合、所得が全くなく、所得税が0の場合でも、15万円の現金支給が受けられることになります。
この「給付付き税額控除」という制度は、現在の日本の税制では採用されていませんので、初耳という方が多いと思いますが、欧米では就労支援、子育て支援のため、既に導入されています。
ただアメリカでは、この「給付付き税額控除」にかかる不正受給者が全体の3割に上るとも言われており、問題が多いのも確かなようです。単に税制だけの問題ではなく、給付金という社会保障制度も絡んでくるだけに、実際に導入するためには様々な障害がありそうです。
(担当:村田)
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