節税対策集126 2007.5.1
この6項目が、決算3ケ月前のToDoです!
以前お伝えした「6−3−3で12個の決算対策(今村事務所オリジナル)」のうち、今回は「決算3ケ月前にするべき6項目」について詳しく解説します。
▼決算利益予測・法人税等予測
例えば、事業年度が1/1〜12/31の1年決算法人では、決算3ケ月前の段階では、おおまかには1/1〜9/30までの9ケ月間累計の試算表が作成されていることと思います。つまり過去9ケ月の利益が実績として確定している…、はずです。「はず」と私が書いたのは、経験上多くの中小企業では出来ていないからです。
つまり、決算3ケ月前の段階で、一体いくら儲かっているのかがわからないのです。特に、税法ベースでいくら儲かっているのかは、後に法人税等を予測する上でも重要です。
例えば、減価償却費の期中未計上や税込経理などであると、今の本当の儲けはわかりにくくなっています。つまりは、「毎月の試算表を12ケ月足してそれが最終決算書とほぼイコールになる」のが「良い月次試算表」といえます。そしてその良い月次試算表に基づく正しい納税予測が決算3ケ月前には必要になります。
▼来期事業計画の策定
決算3ケ月前にするべき2つ目の項目として、「来期事業計画の策定」というのがあります。この時期から来期の事業計画を策定する理由は、経営戦略的に重要なためだけではありません。税制改正によって役員報酬の金額を期中に変更することが原則不可能になったことにより、決算後3ケ月以内に役員報酬の支給額を決定することがとても重要になりました。しかしその役員報酬をいくらにすればいいのかの根拠付けは、事業計画を中心に考えるほかありません。ここに以前の決算対策とは異なり、新しい決算対策としてより「来期事業計画の策定」の重要性が増している理由があります。
他にも決算3ケ月前に事業計画の策定が重要な理由は、今期の節税対策にも有効に機能する場合があるからです。来期の事業計画で人や物への投資を予定している場合、状況によってはそれを少し早めることによって、節税が可能になるかもしれません。
ぜひ決算3ケ月前に、社長の頭の中にある来期の予定を、顧問の税理士事務所や自社の経理担当者に話してくださいね。
▼赤字対策(銀行格付対策)
以前でしたら、銀行からお金を借りようとする場合、担当者や支店長の裁量が多分にあったように思います。それが数年前から、銀行の融資姿勢が大きく変化しました。つまりは、支店長や担当者の裁量部分が大きくカットされ、企業の決算書を点数化することによる「格付融資」が主流となりました。経営者として今「銀行との付き合い方」で大事なのは、ゴルフや飲み食いではなくて(お付合いは大事ですが)、ずばり「決算書の良し悪し」です。
しかし決算書が大事とはいえ、決算書のような定量的評価だけで格付(銀行からみた融資先企業のランク付け)が決まるわけではありません。おおまかには、格付審査の7〜8割部分が定量的評価(つまり決算書による評価)で、残り2〜3割部分が定性的評価といわれています。
この銀行格付対策というのが、決算3ケ月前にするべき3つ目の項目となります。
格付アップの方法としては、例えば、損益計算書上、「収入はなるべく上に、費用はなるべく下に」というものです。そうすると(もちろん合法的なやり方で)、最終利益が変わらずとも営業利益が大きくなる可能性があります。
▼黒字対策(良い節税対策)
節税と一口にいっても、その形態は様々です。私は節税を大きく3つに分けて考えています。それは「良い節税・悪い節税・普通の節税」というものです。詳しくは過去の記事「良い節税・悪い節税・普通の節税」をご参照下さい。
▼消費税納税予測
経営者としては、決算3ケ月前といわず毎月把握しておいてほしいのが、現在の消費税負担額です。
常に現在の消費税負担額がいくらなのかというのを把握しようとすると、原則課税の場合は「税抜経理」が必要となります。税抜経理とは、売上や経費等がすべて税抜で表示されるということです。そして税抜経理を採用すると、毎月の試算表(貸借対照表)上に「仮受消費税」及び「仮払消費税」という科目がでてきます。仮受消費税とは、売り上げたときに預った消費税のことです。仮払消費税とは、経費等を支出したときに支払った消費税のことです。そして仮受消費税から仮払消費税を引いた差額が、現在の消費税負担額です。ちなみに税抜経理というのは、パソコン会計(又は税理士事務所に記帳依頼)であると簡単に実施することが出来ます。
また、簡易課税の場合は「税込経理」でいいのですが、自社の売上内容がどの業種区分になるのかを事前に把握しておいて下さい。そして、いつでも売上高から現在の消費税負担額を計算できるようにしておいて下さい。
▼事業承継対策
決算3ケ月前にぜひ検討して頂きたい最後の項目としては、「事業承継対策=自社の株価計算」です。中小企業における事業承継で特に大きな問題となるのは、自社株価の高騰による相続税納税資金不足です。そのためには、現経営者が生前の間に、株式贈与などの対策をとっておくことが必要となります。
株式贈与(現経営者→次期経営者候補)の方法としては、1つは「110万円の贈与税非課税枠」を使う方法です。そしてもう1つは、「相続時精算課税制度」を使う方法です。これは、原則65歳以上の親から20歳以上の子どもに対する贈与のうち2,500万円までであれば、一旦贈与税を非課税にしましょうという制度です(平成19年度税制改正により、一定の条件のもと3,000万円に非課税枠が拡大されました)。ただし、親が亡くなったときの相続税の計算では、その贈与がなかったものとして計算され、その株式の相続税法上の評価額は「贈与があったときの価額」となります。
つまり、今後株価が高騰していくことがわかっている場合は、この「相続時精算課税制度」というのは有利になる可能性があります。
(担当:今村)
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