節税対策集117 2007.2.2
配当金と申告不要制度
▼配当金は全て確定申告する必要はありません
今回は配当所得について取り上げます。配当金の申告のカギを握っているのは、申告不要制度です。
では、まず配当所得の基本を押さえておきましょう。
配当金はもらう時に税金が源泉徴収され、配当金から差し引かれて入金になります。源泉徴収される税率は、以下のようになっています。
■ 上場株式等の配当金や公社債投資信託等を除く一定の証券投資信託等の分配金等
・・・所得税7%と住民税3%の計10%
(ただし、平成21年4月以降は所得税15%住民税5%になる予定です)
■ 非上場株式等の配当金・・・所得税20%
源泉徴収された税金は、最終的には確定申告で精算することになります。
ただし、配当所得には申告不要制度というものがあります。対象となるのは以下の配当金等です。
(1) 上場株式等の配当金(持株割合が5%未満の場合に限ります)
(2) 公社債投資信託等を除く一定の公募証券投資信託の分配金等
(3) 非上場株式等の原則1銘柄年間10万円以下の配当金
上記の配当所得については、配当金支払時に既に源泉徴収されているため確定申告をしなくてもいいですよ、ということなのです。しかし、必ずしも確定申告をしないのが有利だとは限らないのです。「確定申告しなくてもいいですよ」というのは、「確定申告してはいけません」ということではないのですから。
▼確定申告をしたときの特典
確定申告をしたときの特典は2つあります。
1つは配当控除の適用を受けられることです。配当控除というのは、配当所得の金額に応じて、一定の金額を所得税や住民税から直接控除できる税額控除のことです。控除できる金額は以下のようになっています。
■ 課税総所得金額等≦1,000万円
所得税・・・配当所得×10%
住民税・・・配当所得×2.8%
■ 課税総所得金額等>1,000万円
所得税・・・配当所得×5%
住民税・・・配当所得×1.4%
特典の2つ目はズバリ定率減税の適用です。配当金から源泉徴収されている税金には、定率減税が考慮されていませんので、定率減税の適用を受けるためには確定申告が必要なのです。ただし、定率減税は既に廃止が決定していますので、適用できるのは今回の確定申告が最後ということになります。
では確定申告しないのと確定申告するのとではどちらが有利なのでしょうか。それは配当金の金額や他の所得の状況、所得控除の金額などによって異なるため、一概には言えません。判断基準としては、確定申告した場合の自分の所得に対する税率が、配当金に対する源泉徴収税率(上場株式等は10%、非上場株式等は20%)を下回るのであれば、配当所得を含めて確定申告した方が有利ということになります。
▼還付申告の際の落とし穴
ただし、還付申告をするときにも気を付けておくべきことがあります。それが、配偶者控除や扶養控除との関係です。
例えば、パート収入が100万円で夫の配偶者控除の対象となっている妻のケースを考えてみましょう。この妻が年間50万円の配当金(上場株式等)を受け取ったとします。
申告不要制度を利用し、確定申告をしないという場合には、その配当所得についてはなかったものとされますので、パート収入が100万円であれば所得は100万円−65万円=35万円となり、所得が38万円以下であるため、これまで通り配偶者控除の対象となります。
一方、確定申告して還付を受ける方を選んだ場合はどうなるでしょうか。妻の所得は給与所得35万円+配当所得50万円=85万円となります。この場合、以下の計算のように、年間の所得税は0になり、配当金から差し引かれた所得税3万5千円(=50万円×7%)が全額還付されます。
85万円−38万円(基礎控除額)=47万円
47万円×10%=4万7千円
4万7千円−4万7千円=0
(∵ 4万7千円<50万円×10%=5万円(配当控除))
しかし、確定申告することによって、妻自身の所得は85万円となってしまい、配偶者控除や配偶者特別控除の対象から外れてしまうのです。その分、夫の方が税金を取られるということになってしまいます。「差し引きしたら損だった!」ということのないように注意して下さいね。
▼非上場株式等の申告不要制度
最後に、非上場株式等の申告不要制度についての注意点をご紹介しておきます。
非上場株式等の申告不要制度を選択した場合、所得税の確定申告は必要ないのですが、住民税の確定申告は必要になります。というのも非上場株式等の配当金に対する税金は所得税20%だけで、住民税は源泉徴収されていないからなのです。適用される方は十分注意して下さい。
(担当:村田)
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