節税対策集112 2006.12.15
平成19年度(2007年度)税制改正のポイント
▼企業減税型
昨日(12/14)与党税制改正大綱が発表されましたので、その速報をお届けします。
全体的な印象としては、増税項目というのはそれほど多くなく(ただし平成18年度税制改正にて2007年1月からの定率減税廃止が決定されています)、特に企業に対する減税措置が目立つ内容となっています。
減税規模は、2007年で4,500億円程度と予想されます。
政府与党の税収に対する考え方としては、減税先行で経済成長を促進させて企業増収を図り、その結果税収が増えることを期待しているようです。
また個人レベルで来年2007年の税制を考えると、来年1月から定率減税の廃止が決定されていますので、増税感があるかもしれません。
ちなみに、定率減税廃止による個人負担増合計は1兆円程度のようです。
▼減価償却制度の見直し
企業減税型である今回の平成19年度税制改正大綱でありますが、その中でも注目が、減価償却制度における3つの改正です。
1. 新規設備投資について100%償却を可能に
この制度では、平成19年4月1日以後取得の新規取得資産について、法定耐用年数経過時点で、1円の備忘価額を残して取得価額全額まで償却できるようになる。
これは、企業の国際競争力維持のために減価償却制度においても国際的なイコールフッティングを確保するための措置であるようです。
ちなみにこれにともない、250%定率法を導入予定です。
2. 既存設備投資については、今後5年間で100%償却可能に
この制度では、平成19年3月31日以前取得の既存資産について、償却可能限度額(95%)まで償却が進んだ後5年間で1円の備忘価額を残して全額償却できるようになる。
ということは、経営者の皆さんも会社の減価償却台帳や資産台帳を見直してみて、古い資産で該当する資産がないかチェックしてみてくださいね。
今後節税に使えますよ。
3. 耐用年数の短縮
技術進歩が激しいIT分野における以下の資産の法定耐用年数を短縮する。
・フラットパネルディスプレイ製造設備 10年 ⇒ 5年
・フラットパネル用フィルム材料製造設備 10年 ⇒ 5年
・半導体用フォトレジスト製造設備 8年 ⇒ 5年
▼中小同族会社に対する減税措置
企業減税型の平成19年度税制改正大綱ですが、企業のなかでも特に中小企業に対する配慮が多々あります。
1. 中小同族会社に対する留保金課税制度の撤廃
資本金1億円以下の会社は、留保金課税制度を廃止する。
これによって、資本金が1億円以下であると、「留保金課税及び外形標準課税がかからない」ということになります。
2. 特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入の適用除外基準が1,600万円に
昨年導入された「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度」について、平成19年4月1日以後に開始する事業年度から、適用除外基準である基準所得金額を現行800万円から1,600万円に引き上げる。
つまり、会社の利益と社長の給料を合計して1,600万円以下の会社であれば、この増税項目の対象外ということになります(おおまかな言い方ですがご容赦を)。この影響を受ける中小企業はかなりの数に上ると予想します。良い改正ですね。
3. 定期同額給与の取り扱い明確化
職制上の地位の変更等により改定がされた定期給与についても定期同額給与として取り扱うことを明確化する。
これによって、職制上の地位の変更等があれば期中でも役員報酬を改定できることになります。
4. 特定資産の買換に係る特例措置の延長
取得後10年超の事業用の土地、建物等から土地、建物、機械装置等への買換を行った場合に、譲渡益の80%に対する課税を繰り延べる特例措置を2年間延長する。
この制度が延長されたことにより、新規設備の更新や中心市街地の活性化が図られることでしょう。
5. エンジェル税制の拡充(中小同族会社に対する投資家向け)
エンジェル税制の対象企業を拡大するとともに、手続きを合理化する。
▼中小同族会社の事業承継支援
中小企業の事業承継を税制面でも応援する制度が以下となります。
1. 種類株式の評価方法の明確化
事業承継で有効な種類株式であるが、その相続税法上の評価方法が今まで不明確であった。それを例えば、配当優先無議決権株式については普通株式の評価から5%減額する(ただし、減額分は議決権株式に加算)など、種類株式の評価方法の明確化を行う。
2. 相続時精算課税制度の拡充
中小企業の円滑な事業承継を促進する観点から、60歳(現行原則65歳)以上の中小オーナー経営者が、後継者である子ども(代表者となる場合等に限る)に自社株式を贈与する場合の特例を創設する。
この制度では、非課税枠が2,500万円から3,000万円に拡大します。
▼住宅関係の減税
住宅関係の減税措置です。
1. 住宅ローン減税の拡充
平成19年及び20年に入居する者に対して、控除率を引き下げた上で控除期間を10年から15年に延長する制度を創設する。
またこの制度は、従来の住宅ローン減税との選択適用となっています。
2. 住宅バリアフリー改修促進税制の創設
自宅についてバリアフリー改修工事を行う居住者等に対して、以下の減税措置を創設する。
・住宅ローンを借り入れてバリアフリー改修工事を含む増改築工事を行った者に、その住宅ローン残高の一定割合を5年間所得税額控除する(住宅ローン減税との選択性)。
・改修工事完了の翌年の固定資産税の税額を1/3に減額する。
注)適用対象者や工事詳細等についていくつかの要件があります。
3. 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を3年延長
4. 特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を3年延長
5. 住宅用家屋の所有権保存登記に対する登録免許税の税率軽減措置の2年延長
住宅用家屋の所有権移転登記に対する登録免許税の税率軽減措置についても所要の整備をおこなったうえ、2年延長する。
▼その他
その他にもまだまだ税制改正項目がありますが、そのうちの一部をご紹介します。
1. 上場株式等の譲渡益に係る10%軽減税率については、その適用期限を1年延長する。
具体的には、平成20年12月末までの上場株式等の譲渡益課税の税率は10%となります。
2. 上場株式等の配当(大口以外)に係る10%軽減税率については、その適用期限を1年延長する。
具体的には、平成21年3月末までの上場株式等の配当(大口以外)の税率は10%となります。
3. 国民健康保険税の基礎課税額に係る課税限度額を現行53万円から56万円に引き上げる
4. 電子証明書を取得した個人の電子申告について、5,000円の所得税額控除を行う
5. 投資ファンドから分配される損益に関する資料情報制度や源泉徴収制度等を整備する
6. 改正信託法に係る所要の税制措置
現行の受益者課税(パススルー課税)を維持しつつ、租税回避的な行為を防止するため所要の税制措置を行う
7. 移転価格税制の改善
納税猶予制度の創設(ただし担保必要)及び事前確認制度の見直しを行う。
8. 企業に対する子育て支援税制
企業が事業所内託児施設関連資産を取得した場合の割増償却制度を創設する。
私見としては、仕事と育児の両立を支援する観点からいえば、税制の手当て程度の過少なものではなく、国の大幅な助成が必要であると思います。
9. 所得税の寄付金控除の拡充
寄付金控除の控除対象限度額を30%から40%に引き上げる。
今回の記事は、いち早く経営者の皆様に税制改正項目についてお届けしたいという思いから、書きました。
そのため個々の税制改正項目の詳細まで触れられていない点については、ご容赦ください。
次回以後の記事で、さらに詳しくお届けする予定です。
また、今回の税制改正の内容についてはいまだ決定事項ではありません(ほぼ同内容の法案が来年3月頃に国会通過されるのが通例ですが)。
そして、個々の項目の適用時期など詳細については不明点もあります。
実行には税の専門家のアドバイスのもとに行って下さいね。
Ps.とりあえずゴルフ会員権を使った節税関係は来年もOKなようですね。
(担当:今村)
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