節税対策集106 2006.10.23
来年度税制改正ズバリ予想 その2
▼前回に続く来年度税制改正予想第2弾
今回も前回に引き続き、平成19年度に税制改正が予想される項目を1つピックアップしてご紹介します。今回は消費税の還付についてです。
今年の6月に開催された政府税制調査会で、ある消費税の還付スキームが消費税の計算構造を悪用した租税回避だという指摘を受け、問題視されました。それがアパート建築の際の消費税還付スキームです。不動産コンサルタントや税理士がアパート経営者を対象に実施する案件が増え、最近ではかなり普及してきているようです。この還付スキームに対して、来年度税制改正で何らかの対応が取られるのではないか、というのです。
▼まずは消費税の復習から
「その消費税還付スキームって何?」という方もいらっしゃると思いますので、ここでその内容をご説明したいと思います。
しかしまずその前に、消費税の基本的な仕組みについて簡単に復習しておきましょう。
消費税は原則的には、課税売上の5%に相当する仮受消費税から課税仕入の5%に相当する仮払消費税を控除した金額が納税額になります。このとき仮受消費税より仮払消費税の方が大きければ、消費税は還付になります。課税仕入の中には経費項目だけではなく、資産項目であるアパートの建築費用も含まれますので、多額のアパート建築費用を支払った場合などには、還付になることが多いのです。
ここからが消費税の複雑なところです。売上の中には消費税法上、「課税売上」になるものと「非課税売上」になるものがあります。不動産賃貸の場合、事業用のテナント等の家賃は「課税売上」ですが、居住用の家賃は「非課税売上」です。もちろん「非課税売上」である居住用家賃に対しては消費税がかかりません。
この場合、全売上に占める「課税売上」の割合(以下「課税売上割合」といいます)が95%未満になると、仮払消費税の一部が仮受消費税から控除できなくなるのです。
▼課税売上割合が95%未満の場合
課税売上割合が95%未満になった場合の消費税の計算方法は2つあります。1つは「個別対応方式」といい、これは課税仕入を「課税売上のために必要としたもの」、「非課税売上のために必要としたもの」、「両方に必要としたもの」の3つに区分し、「非課税売上のために必要としたもの」については、控除対象となる課税仕入からその全額が控除されます。「両方に必要としたもの」については、課税売上割合分だけが課税仕入に含まれます。
もう1つは「一括比例配分方式」といい、これは課税仕入を区分することをせず、課税仕入全額のうち課税売上割合分だけを控除対象となる課税仕入とする方法です。
要するに「非課税売上」が増えた場合には、課税仕入のうち課税売上に対応する部分しか控除を認めません、ということなのです。
▼アパート消費税還付スキーム
居住用アパートを賃貸する場合、他に事業を営んでいなければ、通常は全売上が「非課税売上」になるため、「課税売上割合」は0%です。この場合には「個別対応方式」でも「一括比例配分方式」でも課税仕入は0になってしまいます。つまりどれだけ多額のアパート建築費用がかかったとしても、消費税の還付は受けられないということになるのです。
ここでいよいよ還付スキームの出番です。賃借人を入居させると「非課税売上」が発生してしまうため、入居前に何か「課税売上」を作り出し、一時的に課税売上が100%の状況を作り出し、その時点で課税期間を区切って消費税を申告すれば、課税売上割合は100%であるため、原則どおり消費税の還付が受けられます。「課税売上」を作り出す手段としてよく使われるのが、自動販売機収入や駐車場収入などです。
つまり、入居者が入居を開始する前に意図的に自動販売機等の課税売上を発生させ、消費税の還付を受けるというのがこの還付スキームです(実際には他にも実施すべき手続きや注意すべき点はあるが、ここでは省略します)。
国税局も当初は「現行法上認めざるを得ない」としていたようですが、最近のあまりの件数の増加に対してやはり何か手を打たざるを得なくなり、冒頭の税制調査会につながったようです。この還付スキームには他にもいろいろやり方は考えられますし、どこまでが規制されるのか、またそもそも改正になるのかすらまだ分からない状況ですが、適用を検討されている方は要注意です。
(担当:村田)
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