節税対策集105 2006.10.13
来年度税制改正ズバリ予想 その1
▼今年も残すところ後3ヶ月
時間の過ぎるのは早いもので、今年ももう10月になりました。今年は大波乱の年でした。「特殊支配同族会社の業務主宰役員報酬の損金不算入」という大サプライズがあった平成18年度税制改正。5月に施行された新会社法。歴史に残る年になると思います。
そんな中、早くも来年度の税制改正項目についての情報戦が始まっています。今回と次回の2回にわたって、その中で特に気になる項目を1つずつ取り上げたいと思います。
▼特定事業用資産の買換特例
まず1つ目は特定事業用資産の買換特例です。これは法人が特定の資産を譲渡し、一定期間内に他の特定の資産と買い換えた場合には圧縮記帳を認め、その譲渡益に対して課税を繰り延べるという制度です。
例えば、法人が簿価1,700万円の土地を1億円で売却し、同程度の大きさの別の土地1億円を購入したとします(売却にかかった経費は300万円とします)。
このとき法人税の実効税率を単純に40%と仮定すると、通常であれば、
(1億円−1,700万円−300万円)×40%=3,200万円
の税金がかかります。しかし、この特例を使うと
(1億円−1,700万円−300万円−1億円×8,000万円(※)/1億円×80%)×40%
=640万円
(※)1億円−1,700万円−300万円=8,000万円
となり、3,200万円−640万円=2,560万円も税金が少なくなります。買い換えた土地をまた売却するのであれば、その時に今回圧縮した利益が加算されるため、繰り延べた税金を支払うこととなります。
建物等の減価償却資産の場合には、買換資産の取得価額が圧縮され、その分取得後に計上できる減価償却費が減少するため、そこで税金の取り戻しがなされます。
ただし土地の場合に限っては、買換資産を今後売却せずに保有し続けるのであれば、譲渡益に対する税金は永久に繰り延べられることになります。
▼「16号買換え」
この特例の中でも最も使い勝手が良いのが「16号買換え」と呼ばれるものです。この特例は各号ごとに、譲渡資産と買換資産の種類があらかじめ指定されているため、その種類に合致しない場合には適用できません。しかし、この「16号買換え」は譲渡資産が10年超所有されているものという条件だけで、買換資産である土地、建物等を1年以内に事業の用に供すれば適用できるのです(注1)。
尚、この特例は法人だけでなく、個人でも使えます(個人の場合には「15号買換え」(注2))。個人の場合には事業用資産の買換えについてしか適用できませんが、相続対策などに威力を発揮する場合があります。
▼ついに期限切れ!?
このように「15・16号買換え」は、法人にとっても、個人にとっても非常に利用価値の高い規定なのです。しかし、この特定事業用資産の買換特例は時限措置であり、中でもこの「15・16号買換え」だけが今年の12月31日で期限切れとなってしまうのです。
来年度税制改正で延長の措置が取られれば廃止は免れます。しかし、平成13年、平成16年と適用期限が来るたびに同様の議論で何とか延長してきたこの「15・16号買換え」も、もうそろそろ年貢の納め時ではないかと噂されているのです。今年も残すところあと3ヶ月。現段階では延長になるかどうかは全くの白紙ですが、適用を検討される方は年内中に実施された方がよいかもしれません。
(注1)法人の場合・・・租税特別措置法65条の7第1項16号
譲渡資産は国内にある土地等、建物又は構築物で、取得した日から引き続き10年超所有されたもの。買換資産は国内にある土地等、建物、構築物若しくは機械及び装置又は鉄道事業の用に供される特定の車輌及び運搬具
(注2)個人の場合・・・租税特別措置法37条第1項15号
譲渡資産は国内にある土地等、建物又は構築物で、当該個人により取得がされたこれらの資産のうちその譲渡の日の属する年の1月1日において所有期間が10年を超えるもの。買換資産は国内にある土地等、建物、構築物又は機械及び装置
(担当:村田)
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